- AGI(汎用人工知能)には明確な定義が存在しない。
- アンスロピックのダリオ・アモデイCEOは以前、「強力なAI」が2026年までに登場する可能性があると述べていた。
- 彼は、「AGI」を「マーケティング用語」だと考えており、AIの次のマイルストーンのことを述べる際には「強力なAI(powerful AI)」という表現を用いている。
アントロピック(Anthropic)のダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOは、新たな技術的境界に急速に近づいていると確信している。すなわち、ほとんどのことにおいて人間より「優れた」AIシステムが生まれるということだ。
ただし、彼はこれを「AGI(汎用人工知能)」という流行り言葉で表現することには慎重な姿勢を示している。
「AGIが私にとって明確に定義されたことはない」と、アモデイはこのほど公開されたCNBCの「Squawk Box」で語った。
「ずっとマーケティング用語だと考えてきた。しかし、いずれAIシステムがほぼすべてのタスクにおいて、ほぼすべての人間より優れた存在になる時が来ると考えている」
AGIの実現については、多くのテックリーダーが関心を寄せており、急速に実用化へと近づいているとの声も多い。
だが、AGIに関しては広く合意された定義がなく、ましてや、その実現時期についても具体的な見通しが立っていない。とはいえ一般的には、人間の能力に匹敵、あるいはそれを超えるAIの一形態と説明されることが多い。
アモデイは、将来の高度なAIシステムを「データセンター内の天才国家」と捉える方がしっくりくると語った。
「これは、あらゆる力とあらゆる良いこと、そして、ご存じのとおり、あらゆる潜在的な悪い事柄を想起させる言葉だ。これこそ、我々が今後2、3年のうちにかなりの確率で手に入れると考えられるものだ」
アモデイは以前、AGIに関する論考を執筆しており、「強力なAI(powerful AI)」という表現を好んで用いた。その論考で、この「強力なAI」が備えるべき一連のパラメータを提示しており、その中には「関連分野でノーベル賞を受賞した研究者よりも賢い」という特性も挙げられた。また、強力なAIが2026年までに実現する可能性があるとも予測した。
この実現の時期について、アモデイはこれまでにないほど確信を深めている。
「この分野で働いてきた10年の間、いつも『確実なことは言えないが、その方向に進んでいるようであり、極めて強力な、あるいは人間レベルのシステムに到達する可能性がある』と述べてきた」
さらに最近の見解については以下のように語った。
「まだ不確実性はあるため、謙虚であることが重要だが、この6カ月でその不確実性は大幅に減少したと考えている」
最近では、AIモデルが継続的にスケーリング(性能向上)していけるのかが懸念されているが、アモデイはそれに関して心配していないと述べた。技術が壁にぶつかったように見えたのは、彼のAI分野でのキャリアを通しても「5、6回」程度であり、その都度「少し異なる何か」が発明され、継続的に進歩してこられたという。
「AIのスケーリングは、川のようなものだ」とアモデイは言う。
「時々石にぶつかることはあるが、必ず回り道を見つけて進んでいく」