[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第151回―「生体における金属の新たな活用法を模索する」Matthew Hartings准教授

[スポンサーリンク]

第151回の海外化学者インタビューは、マシュー・ハーティング准教授です。アメリカン大学化学科に所属し、生物無機化学として特徴づけられる2つのプロジェクトに取り組んでいます。細胞のシグナル伝達経路を破壊する可能性のあるルテニウム分子の合成と、光活性化酵素を開発するためのタンパク質工学です。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

化学を好きになった理由は、新しい分子を作り出すことの本質的な美しさにあります。物理学や工学を学ぶことも考えましたが、分子スケールの物体を厳密にコントロールする魅力に抗えないことがわかりました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

リグレー・フィールド(メジャーリーグ、シカゴ・カブスの本拠地)のグランドキーパーになります。私はスポーツが大好きです。特に野球が大好きで、試合を描き出すキャンバスにはとてもロマンを感じます。このキャンバスを管理することによって、人は芸術家であり、科学者であり、神父でもありえるのです。かっこいいですね。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

研究活動とは別に、新たな上級ラボコースの開発に取り組んでいます。私は、アメリカン大学の3年生・4年生レベルの学部生教育のために、研究者を効果的に関わらせ指導するアクティブリサーチ能力を活用したいと考えています。このコースが適切に開発されれば、上級学部生指導用ラボのすべてを置き換えることができると期待しています。また、出版可能な素晴らしい結果を得て、出版物や学会発表の機会を学生に与えられるようにしたいと思っていますし、このコースで得られるはずのA評価にも貢献したいと思います。

Q.あなたがもし 歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

ニコラ・テスラです。この人は本当に面白い人でした。彼の科学に対する考え方や(特に)その応用について聞きたいことが山ほどあります。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

10分前にモレキュラーシーブの活性化を始めました。これからルテニウム-ATP(アデノシン三リン酸)錯体を合成するので、その前に溶媒を乾燥させる必要があります。毎日のように研究室にいます。助教授1年目(訳注:当時)の利点でもあり、欠点でもあります。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本:コリン・タウェル著「The Survival Handbook: Essential Skills for Outdoor Adventure」にします。

[amazonjs asin=”0756690382″ locale=”JP” title=”The Survival Handbook: Essential Skills for Outdoor Adventure”]

音楽アルバム:(現在、一番のお気に入りアルバムですが)The Black Keysの「Rubber Factory」にします。

[amazonjs asin=”B0002J547S” locale=”JP” title=”ラバー・ファクトリー”]

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

エミリー・ワイスです。彼女は親友で、大好きな一人です。さらに彼女の研究は素晴らしく(いつも私はうらやましく思っています)、化学の世界で若くして活躍している一人です。もっと多くの人がエミリー自身と彼女の仕事を知るべきです。

 

原文:Reactions – Matthew Hartings

※このインタビューは2011年4月15日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第52回―「多孔性液体と固体の化学」Stuart James教授…
  2. 第63回―「生物のコミュニケーションを司る天然物化学」矢島 新 …
  3. 第48回―「周期表の歴史と哲学」Eric Scerri博士
  4. 第39回「発光ナノ粒子を用いる生物イメージング」Frank va…
  5. 第60回「挑戦と興奮のワイワイ・ワクワク研究センターで社会の未来…
  6. 第八回 ユニークな触媒で鏡像体をつくり分けるー林民生教授
  7. 第71回「分子制御で楽しく固体化学を開拓する」林正太郎教授
  8. 第69回「見えないものを見えるようにする」野々山貴行准教授

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学者のためのエレクトロニクス講座~無線の歴史編~
  2. 博士課程学生の奨学金情報
  3. 第146回―「原子から社会までの課題を化学で解決する」中村栄一 教授
  4. NMRの化学シフト値予測の実力はいかに
  5. 二重可変領域を修飾先とする均質抗体―薬物複合体製造法
  6. 旭化成ファーマ、北海道に「コエンザイムQ10」の生産拠点を新設
  7. Nrf2とKeap1 〜健康維持と長寿のカギ?〜
  8. プラスチックを簡単に分解する方法の開発
  9. マスクをいくつか試してみた
  10. 100兆分の1秒を観察 夢の光・XFEL施設公開

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年5月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

ケムステイブニングミキサー2025に参加しよう!

化学の研究者が1年に一度、一斉に集まる日本化学会春季年会。第105回となる今年は、3月26日(水…

有機合成化学協会誌2025年1月号:完全キャップ化メッセンジャーRNA・COVID-19経口治療薬・発光機能分子・感圧化学センサー・キュバンScaffold Editing

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年1月号がオンライン公開されています。…

配位子が酸化??触媒サイクルに参加!!

C(sp3)–Hヒドロキシ化に効果的に働く、ヘテロレプティックなルテニウム(II)触媒が報告された。…

精密質量計算の盲点:不正確なデータ提出を防ぐために

ご存じの通り、近年では化学の世界でもデータ駆動アプローチが重要視されています。高精度質量分析(HRM…

第71回「分子制御で楽しく固体化学を開拓する」林正太郎教授

第71回目の研究者インタビューです! 今回は第51回ケムステVシンポ「光化学最前線2025」の講演者…

第70回「ケイ素はなぜ生体組織に必要なのか?」城﨑由紀准教授

第70回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

第69回「見えないものを見えるようにする」野々山貴行准教授

第69回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

第68回「表面・界面の科学からバイオセラミックスの未来に輝きを」多賀谷 基博 准教授

第68回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP