パナマ政府が運河周辺の港を運営する香港企業との契約解除を検討していることが関係者の話で明らかになった。この動きが実現すれば、中国共産党の「一帯一路」協定を更新しないと表明したことに続く、対中依存のさらなる見直しとなる。
ホセ・ラウル・ムリーノ大統領は、2月2日にルビオ米国務長官と会談後、パナマ国内の中国企業に関する契約を精査する意向を示した。その中には、2021年に更新された25年間の港湾運営契約も含まれている。この契約は香港を本拠とする長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)の子会社パナマ・ポーツに対し、パナマ運河の出入り口に近い港の運営権を付与するものだった。
ブルームバーグは関係者の話として、ムリーノ大統領はこの契約の取り消しを慎重に検討しているが、正式な決定はまだ下されていない。政府は、適切な法的手続きを遵守し、訴訟リスクを回避する形で進める方針だという。
また、2月3日にはパナマの弁護士2名が、長江和記実業の契約は違憲であるとして訴訟を起こした。原告の一人、ノルマン・カストロ弁護士は、「契約には過剰な税制優遇が含まれており、広大な土地の供与もあるため、憲法で定められた『公共の利益が私益に優先する』という原則に違反している」と主張した。
パナマの主要紙「ラ・プレンサ」によると、パナマ・ポーツ(Panama Ports Company)は、1997年にパナマ政府から承認を受け、パナマ運河の両端に位置するバルボア港とクリストバル港の運営権を25年間取得した。
パナマ大統領府および長江和記実業は、この件についてのコメントを控えている。
米国との関係強化の動き
パナマ運河は1914年に開通し、1977年に米国のジミー・カーター大統領が署名した協定により、運河の管理権はパナマへと移管された。1999年には完全にパナマの管理下となり、現在は世界有数の重要航路となっている。
ルビオ国務長官は2月2日のムリーノ大統領との会談で、アメリカは「中国がパナマ運河地域に影響力を持つことは、運河に対する脅威であり、『パナマ運河の永久中立と運営に関する条約』に違反する」と認識していると伝えた。さらに、「パナマが対応しなければ、アメリカは条約で定められた権利を守るために必要な措置を講じる」と警告した。
この会談を受け、ムリーノ氏は中共の「一帯一路」協定の更新を行わない方針を表明。翌3日、ルビオ氏はこの決定を歓迎し、「パナマとアメリカの関係が前進する大きな一歩だ」と評価した。
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