昔、ジミーちゃん(ジミー大西)は、「犬並みの嗅覚」として知られていた。そんな「犬の嗅覚」は、よく「人間の1億倍」なんていわれている。
では、この「1億倍」、いったいどんな基準によるものなのか。
不思議に思うのは、持ち物にわずかに残っているニオイから、人間の行方を追跡できるような犬が、人間の靴下などダイレクトに嗅いでしまったらもう、即・卒倒&昇天しないのかということ。
人間の1億倍の嗅覚の持ち主と考えると、犬同士で尻のニオイを嗅いだり、電柱のオシッコのニオイを嗅いだりする行為も、まるで気が知れない。私なら頼まれたって、ごめんだ。
ひと口に「嗅覚」といっても、その基準には、得意分野、苦手分野があるということか。
警察犬協会に聞いてみた。
「この『1億倍』というのは、以前、犬の嗅覚の実験が行われた際に、純粋酢酸を少しずつ薄めて、嗅ぎ分けを確認したところ、1億倍に薄めても嗅ぎ分けられることが確認されたことから出た数値です。1億倍は、『酸臭』、つまり、酢酸系の臭いについてのもの。人間を含めた哺乳類の汗や涙などに含まれる酸に、特に強い嗅覚を発揮するんですよ」
やはりニオイにも得手・不得手があり、実験によると、1億倍の「酸臭」のほか、吉草根(カノコソウの根・根茎を乾燥させたもの。植物系漢方薬の臭いに近い)では170万倍、腐敗バター臭は80万倍、スミレの花臭は3000倍、ニンニク臭は2000倍という結果が出たのだとか。
では、なぜ「1億倍」と、いちばん強い嗅覚でありながら、人間の靴下のニオイや犬のオシッコのニオイに平気なのかというと、
「『人間の靴下のニオイ』も『犬のオシッコのニオイ』も、得手分野だからです。さらに、家族(人間)のものであれば、“大好きなニオイ”なんでしょうね。
「1億倍=敏感過ぎて、耐えられないニオイ」ではなく、「1億倍=どんなに薄くとも感じ取れる、大好物なニオイ」というわけだ。
では、反対に苦手分野は?
「不得手な臭いは、刺激臭や人工的、自然界にない臭いですね」
そういえば、昔、犬を飼っているときに、みかんを剥くと、ものすごい勢いで逃げていったのだが、それが不得手な「刺激臭」だったわけか。
ちなみに、犬の他にも、匹敵するような嗅覚の持ち主がいるかというと、
「五感のうち何を利用して狩猟するかが焦点ですから、イヌ科の動物が最も鼻のいい動物でしょうね」とのこと。
どんなにわずかであっても、大好きなものを嗅ぎ分けてくれる犬の嗅覚。1億倍は、究極の愛なのかもしれません。
(田幸和歌子)
では、この「1億倍」、いったいどんな基準によるものなのか。
不思議に思うのは、持ち物にわずかに残っているニオイから、人間の行方を追跡できるような犬が、人間の靴下などダイレクトに嗅いでしまったらもう、即・卒倒&昇天しないのかということ。
人間の1億倍の嗅覚の持ち主と考えると、犬同士で尻のニオイを嗅いだり、電柱のオシッコのニオイを嗅いだりする行為も、まるで気が知れない。私なら頼まれたって、ごめんだ。
ひと口に「嗅覚」といっても、その基準には、得意分野、苦手分野があるということか。
警察犬協会に聞いてみた。
「この『1億倍』というのは、以前、犬の嗅覚の実験が行われた際に、純粋酢酸を少しずつ薄めて、嗅ぎ分けを確認したところ、1億倍に薄めても嗅ぎ分けられることが確認されたことから出た数値です。1億倍は、『酸臭』、つまり、酢酸系の臭いについてのもの。人間を含めた哺乳類の汗や涙などに含まれる酸に、特に強い嗅覚を発揮するんですよ」
やはりニオイにも得手・不得手があり、実験によると、1億倍の「酸臭」のほか、吉草根(カノコソウの根・根茎を乾燥させたもの。植物系漢方薬の臭いに近い)では170万倍、腐敗バター臭は80万倍、スミレの花臭は3000倍、ニンニク臭は2000倍という結果が出たのだとか。
では、なぜ「1億倍」と、いちばん強い嗅覚でありながら、人間の靴下のニオイや犬のオシッコのニオイに平気なのかというと、
「『人間の靴下のニオイ』も『犬のオシッコのニオイ』も、得手分野だからです。さらに、家族(人間)のものであれば、“大好きなニオイ”なんでしょうね。
そもそも犬の嗅覚は、狩猟本能に基づくもので、『獲物』に関係する臭いや、群れ(家族)に関する臭いについては、得手分野で、大好きなものなんですよ」
「1億倍=敏感過ぎて、耐えられないニオイ」ではなく、「1億倍=どんなに薄くとも感じ取れる、大好物なニオイ」というわけだ。
では、反対に苦手分野は?
「不得手な臭いは、刺激臭や人工的、自然界にない臭いですね」
そういえば、昔、犬を飼っているときに、みかんを剥くと、ものすごい勢いで逃げていったのだが、それが不得手な「刺激臭」だったわけか。
ちなみに、犬の他にも、匹敵するような嗅覚の持ち主がいるかというと、
「五感のうち何を利用して狩猟するかが焦点ですから、イヌ科の動物が最も鼻のいい動物でしょうね」とのこと。
どんなにわずかであっても、大好きなものを嗅ぎ分けてくれる犬の嗅覚。1億倍は、究極の愛なのかもしれません。
(田幸和歌子)
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