韓国・釜山の国際空港で28日夜、離陸前の旅客機が炎上し、乗客乗員176人全員が避難した事故。荷物棚にあったモバイルバッテリーから出火した可能性が出ている。

「避難呼びかけるアナウンスはなかった」

事故は28日夜10時過ぎ、韓国・釜山にある金海(キメ)国際空港で起きた。LCC「エアプサン」の旅客機が香港に向かって離陸準備に入ったところ、突然機体の後ろの部分から火が出たのだ。

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機内の様子について乗客は、「後ろにいた乗客たちが押し寄せてきて『みんな出て行け!出て行け!』と叫んだので、私たちもすぐ出ようとしたが、非常口が全部閉まっていて機内に煙が広がった」と話す。火災発生直後とみられる映像を見ると、乗客が非常用スライダーで次々と滑り降りてきていた。しばらく後に撮影されたとみられる映像では、機体の後方から黒い煙が吹き出しているのが分かる。

炎上する機体
炎上する機体

避難時の状況については、驚くべき話も出ている。乗客が「火事だ」と大声を出して、すぐに乗客が非常ドアを全部開けて脱出したが、「避難を呼びかけるアナウンスはなかった」という。

韓国メディアは乗客の証言として「乗務員から避難の案内はなく非常ドアを開けるのもためらっていた」としている。

“荷物棚のモバイルバッテリー”が火元か

事故発生からしばらくして撮影された映像を見ると、機体の中央から前方部分で炎が噴き上がっていた。

機体の中央から前方部分で炎が噴き上がる
機体の中央から前方部分で炎が噴き上がる

火が出た場所は乗客が使う荷物棚とみられていて、モバイルバッテリーが火元との見方も出ている。火が消し止められたのは出火から約1時間後だった。

一夜明けた映像を見ると、機体の屋根部分が広く焼け落ちているのが分かる。

韓国では、181人が乗った旅客機が着陸に失敗し、179人が死亡する事故が2024年12月に起きたばかりだ。今回機内にいた乗客ら176人は全員脱出したものの、現地メディアは、そのうちの7人が煙を吸うなどして病院で治療を受けたとしている。

今回の事故原因について現地当局は、30日午前10時から調査を始める予定だ。
(「イット!」1月29日放送より)

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