ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が8月17日、日本専門家のセルゲイ・ブーチン外務次官を第一外務次官に任命した人事が、一部の日露関係者の間で話題を呼んでいる。外務省では、セルゲイ・ラブロフ外相に次ぐナンバー2ポストだ。
プーチン大統領によって大統領府長官に起用されたアントン・ワイノ氏をはじめ、ロシア外務省の日本スクールは躍進が目立つ。逆に、日本外務省のロシア・スクールは不遇な運命をたどる人が少なくない。
極東と新潟の交流に貢献
ブーチン氏は1964年生まれの60歳で、モスクワ大学東洋語学部で日本語を専攻。東海大学にも交換留学した。就活で苦労し、ソ連崩壊後の経済危機の時代、産経新聞モスクワ支局で助手を務めたこともある。
1996年、ロシア外務省に採用され、1998~2004年まで新潟総領事館で副領事を務めた。2010年から1年間の新潟総領事を経て、2011~13年には東京の在日ロシア大使館で筆頭公使を務めた。日本語がうまく、温厚な性格の親日家として知られる。新潟では多くの知人、友人を作り、ロシア極東と新潟の交流に尽力した。公使時代は日本人記者とも積極的に交流した。
2013年に帰国後、外務省の官房部門に勤務。ラブロフ外相に気に入られ、官房長を長年務めた。23年に人事・総務担当の外務次官に就任。今回、欧州を専門としたウラジーミル・チトフ第一外務次官の退陣に伴い、後任に就任した。今後はラブロフ外相を補佐し、ロシア外務省組織を統轄する。
ロシア外務省には、外務次官が9人もおり、日本で言えば局長級だろう。しかし、第一外務次官は一人だけで、ブーチン氏のポストは日本では岡野正敬事務次官に匹敵する。
ガルージン次官は不満?
ブーチン氏の飛躍に、同じロシア外務省日本スクールのエース、ミハイル・ガルージン外務次官は複雑な心境だろう。
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