にわかに熱を帯びる「ネオ・トランプ主義」論

Foresight World Watcher's 4 Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2025年1月19日
エリア: 北米
選挙キャンペーンで幅広い有権者層から支持を得た分、実際の統治では難しい選択を迫られる[トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ・ワシントンDCの歓迎レセプションでメラニア夫人と花火を鑑賞するトランプ氏=2025年1月18日、アメリカ・バージニア州スターリング]

 トランプ氏の大統領就任まで残すところ数日となった先週、海外メディアで目についたのはトランプ氏の掲げる政策の“読み返し”的な論考でした。特に保守系のメディアでは、トランプ氏が社会問題や外交などで示している現実主義的な軌道修正を評価する議論が多いようです。

「ネオ・トランプ主義」を語るのはちょっと気が早いような気もしますが、分極社会のそれぞれの場所でイデオロギカルな硬直が進むアメリカに、ある種の穏健さとプラグマティズムへの期待が生まれることは理解できます。ただ、それはトランプ氏の政権が多くの矛盾と複雑性を抱え込むことも意味するでしょう。たとえば、これまで政府支出の大幅削減を掲げるイーロン・マスク氏主導の政府効率化省(DOGE)が注目されてきましたが、一方で「伝統的共和党の新自由主義に凝り固まるな、いまは政府が支える国家経済政策こそが重要なのだ」といった議論を保守系識者が打ち出し始めているところに、複雑性は早くも表れていると言えそうです。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事4本、よろしければご一緒に。

Trump's second chance: He's supposed to be here【W. James Antle III/Washington Examiner/1月17日付】

「[第1次政権での]トランプは、パンデミック、[略]ロックダウンによってもたらされた景気後退、そして自身の欠点によって2期目の大統領職を失った[略]。彼は自身の政治的不運の責任を他に求め、1月6日の[連邦議会襲撃]事件と前例のない2度目の弾劾の影の中で大統領職を去ることになった。しかし今、彼には2度目のチャンスが訪れた。自身の政治人生という素晴らしい物語に、異なる結末を書く機会が訪れたのだ。彼はそのチャンスをつかめるだろうか?」

 米「ワシントン・エグザミナー(WE)」誌サイトに1月17日付で登場した「トランプのセカンド・チャンス──彼はここにいるべくしている」で、筆者である同誌編集長、W・ジェームズ・アントル3世はこのように自問して論を進める。

 保守派メディアとされるWE誌だが、2020年の議会襲撃事件についての調査の進展を受け、22年6月29日付で「再び権力を握るには適さないと証明されたトランプ」と題した社説を掲載。トランプを保守本流とは見なせないとの姿勢を打ち出したことがある。それから2年半を経て編集長自らがペンをとった「~セカンド・チャンス」では、どのようなスタンスを示すのだろうか?

カテゴリ: 政治
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