ある時、ちっちゃな坊やに尋ねられたナディアさんは、
「私、人魚姫なのよ」と思わず答えていました。以来ずっとそのことが頭から離れなかったと言います。
女の子がみな一度は夢見る世界ですけど、子どもの頃、病気で両足を膝から下を切断したナディア・ヴェッセイ(Nadya Vessey)さんにとって、その思いは切実でした。そこである日、思い切ってWetaワークショップに手紙を書いて、人魚の尾ひれを義足代わりに作ってもらうことはできないかと、お願いしてみたのです。
WETAは、『ロード・オブ・ザ・リング』や『キング・コング』のVFXでアカデミー視覚効果賞を受賞し、『ナルニア国物語』などハリウッドの大作を次々手がける今をときめくプロ集団。多忙なはずなのに意外にも返事は、「作りましょう」。
こうしてウェットスーツ素材とプラスティックの型、デジタルプリントの靴下をつくり、2年がかりで完成したのが、写真の義足兼用の人魚の尾ひれです。
上下つなぎになる水着と一緒につけると、もう、どこから見ても人魚。着心地も快適だし、ひれは動かせるので自由自在に水の中を泳ぐこともできます。
素晴らしい工房スタッフと製造工程、ナディアさんのインタビューはTV特集「A Mermaid's Tale」(尻尾[tail]と物語[tale]の掛け言葉)でどうぞ。
これぞ正真正銘のマジック。
Andrea Wang(原文/訳:satomi)
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UPDATE:ワークショップに直しました、ありがとうございます!