昨年末、12月26日に発売したミズノの新しいランニングシューズ「ミズノ ネオ ゼン」。メディア向けに開催された発表会&試走会に参加し、その機能とポテンシャルを体感してきました。
日々のトレーニング用のシューズ
近年、エリートランナーたちがレースで着用するカーボンプレートを搭載した厚底レーシングシューズの開発競争が激化していますが、「ミズノ ネオ ゼン」は、日々のジョグや練習をサポートするためのシューズ。いわゆるデイリートレーナーです。
発表会で商品説明を聞いていて、「ミズノ ネオ ゼン」には、ミズノウエーブが採用されていないことにまず驚かされました。
ミズノウエーブというのは、波形状を用いてランニングシューズに必要なクッション性と安定性を両立させるためのミズノ独自のテクノロジー。波形状のプレートを挟むタイプと、硬さの異なるフォームで波形状を作るタイプがあり、ミズノのジョギングシューズや、ビギナー向けのレースシューズには、ほとんどの場合ミズノウエーブが採用されているのですが、「ミズノ ネオ ゼン」には、それがありません。
新しいチャレンジ、新機軸と呼ぶにふさわしいシューズだと言えそうです。
アップデートされたミッドシール
ミッドソールに採用されているのは「ミズノエナジーネクスト」という素材。
「ミズノ ネオ ビスタ」というシューズにも採用されている素材ですが、「ミズノ ネオ ゼン」のものは超臨界発泡技術(樹脂を高圧力と高温によって超臨界流体という状態にしてから発泡成型する)によって作られており、同じ名前ながら、クッション性、反発性、軽量性が大きく向上しているそうです。
さらに、「ミズノ ネオ ゼン」には特許取得の「スムーズスピードアシスト」という機能が採用されています。「スムーズスピードアシスト」とは、カーブした前足部、拡張された中足部、カットされた踵部が三位一体となり、ふくらはぎ周辺の筋肉にかかる負担を軽減し、スムーズなフォアフット走法(※1)、ミッドフット走法(※2)をアシストするテクノロジー。
「ミズノ ネオ ゼン」に採用されている「スムーズスピードアシスト」は、レーシングシューズと比較すると傾斜がゆるくマイルドなものになっています。
アッパーはシームレスなニットタイプ。ブーティ構造になっており、足を入れるとまるでソックスのように足にフィットします。足あたりはソフトで心地好く、なかなかに好印象です。
(※1)フォアフット走法:足の親指(母子球)とつま先で着地し、その反動で蹴り出す走法。
(※2)ミッドフット走法:足の中央部で着地して、前足部へ体重移動し、つま先で蹴り出す走法。
柔らかくナチュラルな走り心地
走り始めて最初に感じたのはクッション性の高さ。接地がかなりソフトで、アスファルトの硬さ、突き上げを感じません。ミズノによると「ウエーブネオ ウインド」(ミッドソールはミズノエナジーとミズノエナジーライトの組み合わせ)というシューズと比べると、前足部のクッション性が約83%、反発性が約66%、中足部のクッション性が約48%、反発性が約54%高いとのこと。
筆者が履いたことのあるシューズとの比較だと「ミズノネオビスタ」「ウエーブライダー28」と比べても、かなりクッション性が高いと思います。ミズノの定番ロングセラーである「ウエーブライダー」シリーズに足を入れたことのあるランナーは、結構いるかと思うのですが、安定性重視な印象の「ウエーブライダー」シリーズとは全く違うライド感。「ミズノ ネオ ゼン」は“柔らかくナチュラル”という印象です。
ソール厚は踵部が39.5mm、前足部が35.5mm。重量は片足が約235g(27.0cm)です。「ウエーブライダー28」が踵部28.5mm、前足部26.5mmの重量約285gなので、厚底かつ軽量モデルということがわかります。
クッション性が高い厚底モデルながら、ソール底面の面積が広くとられているため、走っていて不安定さを感じることはありませんでした。
そして、ランニングシューズの価格が高騰している中で、税込16,500円という価格も魅力です。ジョグ用のシューズは、よく走る人ほど頻繁に買い替える必要があるので、最新のテクノロジーを備えながら価格が抑えられているのは、とても嬉しいポイント。
「ミズノ ネオ ゼン」はランナーの足にも懐にもやさしいシューズと言えますね。
Photo: 神津文人