「ダックハントの光線銃の仕組み」と並んで読者からリクエストが多いのが、本日表題のテーマです。
レゴを一度でも踏んだことある人ならわかりますよね、あの脳天に突き抜ける痛み。ハチの毒を塗った刃物でも踏んだのかって思うほどです。小さなお子さまのいる家庭は、言うなれば「レゴの地雷原」のようなものかと。レゴはご存知のとおり、デンマークの農村出身の大工オーレ・キアク・クリスチャンセンがイギリスの「Kiddicraft Self-Locking Building Bricks」の特許技術を「拝借」して作ったのが最初です。が、最初にレゴを踏んづけた人が誰かという具体的な記録は残っていません。
床にはいろんなものが転がっているはずなのに、なぜレゴだけあんなにも痛いのか? 第1の理由、それは人体の中でも足の裏が飛び抜けて敏感な部位だということにあります。痛み、圧力、その他もろもろの刺激を増幅して感じ取ってしまうんですね。唇、性器、目、手と同じぐらい。
なぜ足の裏はそんなにも敏感なのか? 人は足で常にバランスとってますからね。ここから脳にきちんと情報を送ってやらないと倒れてしまう、だから足裏には神経がみっしりついているのです(そう言えば、拷問の通は足裏をやるって本でも読んだっけ)。
でもなぜレゴだけ痛い痛いって言われるんでしょうね? 他にも踏んづけて痛いものは沢山あるのに。不思議に思ってレゴのサイトを覗いてみたら、なんとレゴは今や全人類ひとり平均83個も持ってる計算なんだそうな!!? あと刃物と違って片付けもそう気を使わないし。子どもが遊ぶのは床だし。そうやって考えてくると、踏むためにあるようなものですよね。
また、ここは重要なポイントなんですが、他のものと違ってレゴは踏んでもそう簡単には潰れません。何年か前にBBCラジオがオープン・ユニバーシティに標準レゴ1個の負荷を調べてもらったんですけど、潰れるまで力をかけていったら、な~んと4,240ニュートンまでいけちゃった。つまりレゴはあんな小さな体で432キロ(953ポンド)もの力を支えてしまえるタフなヤツだったんです。
従って、硬めの床でレゴを1個うっかり踏んづけると、これだけの力が逃げ場を失ってレゴに集中し、足の裏の巨大な神経クラスラに情け容赦なくめり込んできます。しかもレゴは丸くはない。角は不穏にとんがってます。加えて、体を動かしていると足の裏には全体重の9倍の衝撃がかかります。ゆっくり歩いてる時でさえ衝撃は2倍です。
…とわかったところで、このめり込む圧力を計算してみましょう。
2×2(ポッチが2個ずつっていう意味)の標準レゴの場合、足に当たる面積は約2.25平方センチ(ポッチは無視して)。それを体重75キロ(165ポンド、734ニュートン)の人が踏んづけると仮定します。ちょっとアメリカ水準ですが。
圧力は力を面積で割った値(P=F/A)ですから、歩いてきて加速力が下にかかるとかじゃなく、ただ片足でレゴの上にボケッと立つだけでも、その足にめり込む圧力は…734 N/0.000225 m2=約3,262,222 パスカル! 標準大気圧の実に約32倍もの力が超敏感な部位をモロ直撃する計算です。
大体の人は「アイテテテテ…」と反対の足にすぐ体重移しますから、そうすれば圧力もだいぶ和らぎますけどね。しかしまあ、踏んづけるときはただボーッと突っ立って踏むなんてことはありません。先述のように、ゆっくり徒歩でも体重の倍の力がかかる。早足で歩いてた日にゃもうもうもう。この3,262,222 パスカルというのはラフな概算ということで。
以上です。これでレゴを踏んづけると痛い理由が明確にわかりましたね(大体想像通りですが)。次回踏むときは、何個か固まったレゴであることを祈ってます。
* 本稿はTodayIFoundOut.com初出原稿を許可を得て再掲しました。
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Karl Smallwood - TodayIFoundOut.com - Gizmodo US[原文]
(satomi)