それって化石になるの?デンマークで見つかった化石が斜め上すぎた。

  • author 中川真知子
  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
それって化石になるの?デンマークで見つかった化石が斜め上すぎた。
Image: Sten Lennart Jakobsen

デンマーク、シェラン島にあるステウンス・クリントで、地元の化石ハンターが驚くべき発見をしました。

見つかったのは、6600万年前の生き物の痕跡が残る謎の塊。この化石、かなり斜め上の物体なんですが、研究者たちは大いに注目しているんですって。oesm.dkが伝えました。

化石の宝庫で見つかった塊

ステウンス・クリントはユネスコ世界遺産に登録された、白亜紀と古第三紀の境界を観察できる貴重な地層。この場所は、6600万年前の地球の生態系を映し出す化石が多数埋まっている化石の宝庫として知られています。

DK-1295-fossilt-braek-med-soelil
Image: Sten Lennart Jakobsen

そんな場所で今回の化石を発見したのは、地元の化石ハンター、ピーター・ベニッケ氏。彼が石灰岩を割ると、中からウミユリの化石片が現れました。しかし、何か様子がおかしかったのだとか……。

様子がおかしいウミユリの化石片

ファクセ地質博物館に持ち込まれた化石を専門家が分析すると、少なくとも2種類のウミユリの破片が含まれていることが判明しました。

さらに驚くべきことに、この塊は単なるウミユリの化石ではなく、ある生き物が食べた後に吐き出したもの、つまりゲロがそのまま化石化したものだとわかりました。(ていうか、ゲロって化石になるんだ……)

6600万年前のデンマーク、海の中では何が起こっていたのか?

当時のデンマークは、酸素が豊富な浅い海に覆われていました。魚、イカ、ムール貝、カタツムリ、ウニ、海綿体などが生息し、さらに海の上層には何十億もの微生物が漂っていました。これらの微生物の殻が積み重なって、現在のステウンス・クリントの石灰岩の断崖を作りました。

魚たちの意外な食生活

ファクセ地質博物館の学芸員であり、デンマーク野生生物委員会のメンバーでもあるイェスパー・ミラン氏は、「これは非常に珍しい発見です。ウミユリは主に炭酸カルシウムでできた硬い板状の構造を持ち、柔らかい部分がほとんどありません。特に栄養価の高い食物とは言えません」とコメントしています。

つまり、6600万年前の海で、ある魚がウミユリを食べたものの、消化しきれずに吐き戻したということなんです。そして、それが奇跡的に化石になって、現代の研究者たちによって解明されました。

この発見は、白亜紀の海における捕食者と被食者の関係や食物連鎖を解き明かす手がかりになりました。

つまり、ゲロ=生物の食生活を記録したタイムカプセルと言っても差し支えないでしょう。

まさか、吐き出した魚も自分のゲロがロマンを秘めているなんて思ってもいなかったことでしょうね。


Source: oesm , HERITAGE DAILY