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独醒書屋
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 画鬼と称された河鍋暁斎の娘で、自らも画家であった暁翆の生涯。明治維新で日本画の流行りも変わっていく中で、様々なことに葛藤しながら生き抜いていく。
 明治から大正時代に活躍した女性日本画家、河鍋暁翆(きょうすい)の生涯を描いた歴史小説です。本名は“とよ”と言います。
狩野派の日本画家、河鍋暁斎(きょうさい)の娘として生まれ、幼い頃から絵の手ほどきを受けて画家になるのが当然のように育てられました。


 明治時代の画家といえば横山大観、女性では上村松園が思い浮かびますが、河鍋暁斎、暁翆のことは全く知りませんでした。父娘の画家といえば浮世絵の葛飾北斎と応為を連想しますね。
実際、父親の暁斎は、応為を意識してとよを絵師にしたかったのだという話も出てきます。

自由奔放で絵を描くことに迷いがなかった応為と違って、とよには様々な葛藤があったようです。
 母はなく父とは師弟関係で、娘として愛情を受けた覚えがないことからくる孤独。
 画家として父親を越えることはできない焦燥。
 自分は家を守っているのに、奔放に絵を描いている兄との確執。
 西洋画風が好まれ狩野派の絵は時代遅れと評される世の中にあって、「自分の絵」を模索する迷い。
そんなとよを中心に、登場人物の様々な人間模様が展開されます。


 時代小説はどこまでが史実に基づいていて、どこからが作者の創作なのかわからないところが面白いところです。
女子美術学校の教師をしていた時に、校内でのちの栗原玉葉に出会うシーン、
品川に出かけて行ったときに関東大震災に遭遇するシーンなど、
本当なのか演出なのか、想像を巡らせてワクワクしました。

いかにも“時代小説らしい”、小説でした。

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独醒書屋
独醒書屋 さん本が好き!1級(書評数:637 件)

 定年後の第2の人生を好きな本に囲まれて過ごしたいと、図書館司書になりました。
 最近は町田そのこさん、青山美智子さん、寺地はるなさん、古内一絵さんなどハートウォーミングな小説をよく読んでいます。

 社会問題や科学、歴史、芸術、心理学にも興味があります。

 特に、激変する未来に「社会がどう変わっていくのか?」ということに関心があって、人工知能と人間の関係、家族関係、医療の進歩、女性の社会進出、未来社会を見据えた教育のあり方に関連する本もよく読みます。

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