でらいつカレーvol.8 超基本編・スパイスだけでつくる極上チキンカレー
気が付けば、でらいつカレーも8回目となりました。
過去7回、あれやこれや、さまざまなカレーの作り方を紹介してきましたが、振り返ってみると、どこかちょっとマニアックというか、ハードルが高いというか、なかなか試しづらいカレーだったかもな~と、チョットだけ、反省しております(チョットだけよ 笑)。
で、です。
今回は、基本の基の字に立ち戻って、スパイスだけで作る超シンプルな「基本のチキンカレー」を紹介しようかと思っておりますが、みなさん、いかがでしょう?
「でもぉ、カレールウを使わないで、スパイスだけでカレーを作るってことは~、スパイスをいろいそそろえなきゃダメなんでしょ?」
はい、キターッ!
「スパイスはいろいろそろえなきゃダメなんでしょ? 問題」。
スパイスだけでカレーを作るってゆーと、みなさん大体この心配をしますよね?
「いったい何十種類買えばいいの?」って。
たしかに、過去のでらいつカレーで毎回使っていた「カレー粉」も、十数種類のスパイスがミックスされているものですし、街のカレー屋さんでも、「うちは30種類以上のスパイスを使って、なんちゃらかんちゃら……」みたいな宣伝文句をよく見かけますもんね。
ご安心ください。
「基本のチキンカレー」で使うスパイスは、4種類!
4種類あれば、十分においしいカレーは作れるんです!
なんなら、3種類でもいいくらいなんですよ。
そのスパイスとは……ハイ! これだけ。
- レッドチリパウダー
- ターメリックパウダー
- クミンパウダー
- コリアンダーパウダー
ね? シンプルでしょ?
写真は自前のスパイスボトルに入れたものですが、
この4種はぜ~んぶ100円ショップで売っています!(当社スタッフ調べ)
てことはですよ、400円でスパイスが調達できるんです!(税別だとプラス32円必要だけど……)。
お手軽じゃないですか。でらいつカレーっぽいですよね。
てことで、今回は、この4種類のスパイスだけで作っていきます。でらいつカレー! 4種のスパイスでつくる「基本のチキンカレー」、スタートです!
あっ、「なぜこの4種なんですか?」とかゆー、ヤボな質問はしないでくださいね。
「Don't think Feel !」
さっそく材料はこれだけそろえましょう
今回使う食材はコレ!
材料(2人分)
- 鶏もも肉:250g 玉ねぎ:小1個 トマトピューレ:大さじ2
- クミンパウダー:大さじ1/2 コリアンダーパウダー:大さじ1/2
- レッドチリパウダー:小さじ1/2 ターメリックパウダー:小さじ1/2
- にんにく:1片 しょうが:1/2片 塩:小さじ1/2 香菜:1株
- (詳細レシピは最後に掲載します)
「チキンカレー」の下準備
いつもの通り、スムーズな調理のため、下ごしらえをしましょう。
・玉ねぎを粗みじん切りする。
【1】 先を切り落とす。
【2】【3】 繊維方向に縦に半分に切る。
【4】 根本の部分を残しながら、繊維方向に8mm程度の厚さに切り目を入れる。
【5】 切り目と垂直方向に8mm程度に切る。
【6】 根本付近まで切っていく。
【7】【8】【9】根本を上に向けて倒し、芯部分を残しながら周りの部分を切っていく。
私はいつもこんな感じで切ってます。
これが大正解って訳ではありませんが、意外と切りやすいですよ。
あと、細かいみじん切りにする必要もありません。8mm~1cm程度でOKです。
・香菜を2cm程度にきざむ。根はみじん切りにする。
【1】 根をきれいに洗い、切り落とす。
【2】【3】2cm程度の長さできざむ
【4】【5】【6】切り落とした根の部分をみじん切りにする。
茎の集まった部分に土が挟まってる場合があるので、そこをきれいに洗いましょう。根っこだけを切り落とすのではなく、根の2cmくらい上から切り落とすのがいいでしょう。
写真の香菜は、びろ~んと伸びた長い根がもともと切り落とされてたので、こんな感じになります。長い根っこももちろん使えます。
・にんにく、しょうがをすりおろす。
【7】しょうがをすりおろす。
【8】にんにくをすりおろす。
【9】にんにくとしょうがはまとめてもOK。
こんなに丁寧でなくてもいいですよ。にんにくとしょうがを一緒にミキサーにかけてもOKです。
・鶏もも肉の皮を剥ぎ、食べやすい大きさに切る。
【1】【2】 まな板の上に身を下にして置き、皮をしっかり持って剥いでいく。
【3】 筋肉の分かれ目に沿って大きく切る。
【4】 筋肉のまとまりを残すように切っていく。
【5】 大きな筋肉のまとまりを切る場合は筋肉の繊維方向と垂直に切る。
【6】 だいたい同じ大きさになるように切る。
剥いだ皮は「鶏皮ぽん酢」でも作っちゃえばいいじゃない!
下準備ができたら、調理の開始です。
いつものように、ちょっと深めのフライパンで、できるだけノンスティック加工(くっつかないヤツ)のものを用意してください。
さっそく調理開始です!
・フライパンに調理油(大さじ1.5)を中火で熱する。
・みじん切りにした香菜の根を加える。
油を熱したところに加えるので、入れた瞬間ジュワッとします。油の飛びはねに注意してください。
もちろん、香菜がキライなら無理に入れなくていいです。
でも、入れると香りが良くなりますよ~。
・香りが立つまで炒める。
5秒程度でOKです。
・玉ねぎを加えアメ色になるまで炒める。
玉ねぎを加えたら強火にします。「強火で炒める!」これ基本です。
ここでワンポイント! 玉ねぎを加えたら塩を振りましょう。
ふたつまみ程度でOKです(レシピの分量外です)。
こーすることで、玉ねぎの脱水を促進させることができます。
アメ色玉ねぎが早く作れますよ~。
塩を振ったら油としっかり混ぜ合わせてから炒めましょう。
「でらいつカレー」を1回目から読んでいる熱心な読者ならもう覚えたと思いますが、玉ねぎ炒めの基本テクニック、
「放置して、動かす!」
これを今回も実践します!
えっ!? 今回初めて「でらいつカレー」を読んでいるですって??
うそでしょ?
【桃カレー】とか【梅酒ポークカレー】とか、読んでないんすか?
ガックシ……。
じゃ~、しょうがないっす。今回も丁寧にお教えしましょう。
先に書きますが、玉ねぎ炒めのポイントはこれです!
- 強火で炒める!
- 放置して動かすを繰り返す!
- ちょっとくらいのコゲは気にしない!
これ、強火で2分程放置した後に全体を動かした状態です。
フライパンの材質と厚さにもよりますが、はじめのうちは5分くらいは放置しても大丈夫ですよ。
(といっても、5分放置して焦げ付かない保証はできないので、あくまでも自分の目で確かめながら炒めてくださいね)
さらに2分程放置して動かした状態です。
放置しては動かし、放置しては動かし……を繰り返すと、このように玉ねぎの表面がどんどん焼けていきます。
これを繰り返してアメ色玉ねぎを作っていきます。
7~8分でこの程度まで焼き色がつきます。
(※時間はあくまで参考値です。皆さんの使うフライパンの材質や厚さ、ガスの火加減、玉ねぎの水分量でも違ってきますので、時間よりも「見た目」を気にしながら炒めてください)
・しっかり焼き色がついてきたら、50ml程度の差し水をします。
差し水をすると、玉ねぎの表面の焼けた部分(メイラード反応が起こった部分)が水に溶けだし、玉ねぎ全体の褐色化が促進します。また、鍋中の温度がいったん下がるので焦げ付きの防止にもなります。
アメ色炒め玉ねぎの完成です。
この色がアメ色かどうかの議論は受け付けておりませんが(笑)、このように水分が飛ぶまで炒めたら、ひとまず玉ねぎだけの炒め工程は終了です。
続いて、にんにく、しょうがを加えていきます。
・にんにく、しょうがを加え青臭さがなくなるまで炒める。
火加減は中火くらいに落としましょう。
水分が少ないので、焦げやすくなっています。ご注意を。
しっかり混ぜ合わせながら炒めましょう。
にんにく、しょうががきっちり炒められた状態です。
この間も玉ねぎのメイラード反応が進むので、どんどん濃い茶色になっていきます。ところどころ焦げてるような玉ねぎもありますが、これくらい全然ヘーキです。
「ちょっとくらいのコゲは気にしない!」です。
・トマトピューレを加え、水分がなくなるまで炒める。
この時の火加減は中火のままですが、玉ねぎの焦げつきが怖い場合は、弱火にしてもOKです。
しっかりと混ぜ合わせ、水分がなくなるまで炒めましょう。
水分が飛んだかどうかの確認は、炒めた玉ねぎを油と一緒にフライパンの端に寄せ、傾けます。
このとき、玉ねぎがその場に残り、油だけがたらーっと流れてくるくらいが目安です。
東京カリ~番長的には、「カレーロード」を見せたかったのですが、今回の量だとちょっと分かりにくいんですよね。
いつか、見せます。カレーロード!。
見てください! この色つや! イイ感じの炒め玉ねぎが出来ましたね~。
こんな感じになれば次の行程へ進んでOKです。
4種のスパイスを加えます
ここにスパイスを加え、「カレーの素」を作っていきます。
・火を弱め(あるいは止め)パウダースパイスと塩を加える。
まずはターメリックパウダー。
続いてレッドチリパウダー。
続いてクミンパウダー。
パウダースパイスが油を吸って行くのがわかりますね。
そして、コリアンダーパウダー。
最後に塩です。
パウダースパイスと塩を入れ終えたところです。
油が吸われて見えなくなりました。
ここから、弱火で1~2分炒めていきます。
炒めることでスパイスの香りが立ってくるので、ただ混ぜるのではなく、きっちりと炒めましょう!
しっかり混ぜ合わせながら炒めていきます。
フライパンの表面部分に焦げ付きができやすいので、木べらでフライパンをこそぎながら炒めていくのがポイントです。
このように、玉ねぎとスパイスがひとまとまりになるまで炒めたら、「カレーの素」は完成です。
これをチビッと食べてみて、「(ちょっとしょっぱいけど)おいしい!」と思えれば、5割、いや8割方、おいしいカレーは作れます。
さあ、メインの具材を投入!
・鶏もも肉を加え炒める。
「カレーの素」を肉に絡めながら、表面が白っぽくなるまで炒めます。
「カレーの素」が焦げ付かないよう、火加減は弱めの中火で、よく動かしながら炒めましょう。
この程度、鶏肉が全体に白っぽくなるまで炒めてください。
・水を加え、一度しっかり沸騰させる。
ここで火加減を強火にします。
そうだ、水はレシピの分量より少な目で入れるのがコツです。
カレーがおいしく作れないって人、この「水の量」が多すぎるというパターンが多いですから。ちなみに、「カレーの素」を作るときの「塩」も、レシピより少な目がいいですよ。
水も塩も後からでも足せますからね。
水を加えたら一度しっかり混ぜ合わせてください。
このように、必ずボコボコと沸騰するまで強火にかけてください。
・弱火で15分煮込む。
一度しっかり沸騰させた後は、火を弱めて表面が小さく沸々とする程度で煮込んでいきます。
煮込むときの火加減は「弱火」が鉄則です。
東京カリ~番長の調理主任、水野仁輔の名言、
「強気で炒めて、弱気で煮込む」
これを皆さんも覚えてくださいね。
煮込み時間は15分です。ふたはしません。
途中、2、3回フライパンをこそぎながらかき混ぜてください。
玉ねぎが底に溜まりますので、それが焦げ付かないようにきっちりこそぎましょう。
ふたをせずに煮込んいるので、水分が少し減ります。
15分というのはひとつの目安ですが、見た目としては、油が分離してきて、表面に油のまとまりが見えてくる状態です。
15分経ちました。
表面に油のまとまりが浮いているのがわかりますかね?
(ピントがタイマーだからわかりにくいかな~)
・香菜を加え、軽く煮込む。
香菜が苦手な方は省略してOKですが、なにか別の青菜類(水菜、ニラ、わけぎ、イタリアンパセリ……等々)のみじん切りを加えてみてください。
グッと香りがよくなりますよ~。
香菜の分量を「1株」と書きましたが、モノによっては1株だとごく少量だったりします。
スーパーとかで売っているハーブ類のパッケージ商品だと、ほんとちょっとですもんね。なので、1株と言うよりは、ざく切りして「1/2カップ」くらいが目安です。
弱火のまま、しっかりかき混ぜていきます。
最後に、「砂糖」をひとつまみ加え、よくかき混ぜたら完成です。
砂糖は甘味を出すためではないので、少量で十分です。
砂糖を加わえることで味に深みが出ます。
ジャムなどでもいいでしょう。でも、入れすぎには注意です!
さっとかき混ぜてフィニッシュ!
最終的な塩加減はお好みで調整してくださいね。
4種のスパイスだけでつくる「基本のチキンカレー」の完成で~す!!
たった4種類のスパイスだけとは思えない、スパイシーな香り!
(香菜を使ってるので正確には5種類ですかね?)
味付けは塩だけなのに、何とも言えない奥深い味!
あ、ちょっとだけ砂糖使ってましたね(笑)。
兎にも角にも、「たったこれだけの食材で、こんなにおいし~カレーが作れるの?」と、ビックリすること、間違いナッシング!
あ~、もう我慢できない。
さっそく実食です!
鶏肉が柔らかくて、でも、しっかり味が残っていて、うま~い!
カレーソースと混ぜ混ぜしたご飯が、うま~い!!
あ~、もう、最後のひと口……。
2人前作ったけど、ひとりで全部食べちゃいた~い!
(あれ? このフレーズ、前回も使ったかな?)
おさらい
4種スパイスで作る「基本のチキンカレー」 材料(2人分)
- 鶏もも肉:250g
- 玉ねぎ:小1個(150g)
- トマトピューレ:大さじ2
- クミンパウダー:大さじ1/2
- コリアンダーパウダー:大さじ1/2
- レッドチリパウダー:小さじ1/2
- ターメリックパウダー:小さじ1/2
- にんにく:1片(5g)
- しょうが:1/2片(8g)
- 塩:小さじ1/2
- 水:250cc
- 香菜:1株(ざく切りして1/2カップ程度)
- 砂糖・少々
- 調理油:大さじ1.5
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- フライパンに調理油を中火で熱する。
- みじん切りした香菜の根を加え炒める。
- 玉ねぎを加え、強火でアメ色になるまで炒める。
- にんにく・しょうがを加え、青臭さがなくなるまで炒める。
- トマトピューレを加え、水分がなくなるまで炒める。
- 火を弱めパウダースパイスと塩を加え、よく混ぜながら1~2分炒める(ここで「カレーの素」が完成)。
- 鶏もも肉を加え「カレーの素」と絡めながら肉の表面が色づくまで炒める。
- 水を加え、強火でしっかり沸騰させる。
- 弱火にし、ふたをしないで15分程煮込む(途中何度かかき混ぜる)。
- 刻んだ香菜を加え、よく混ぜ合わせながら煮込む。
- 砂糖を加えしっかり混ぜ合わせたら、塩味を調えて完成。
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最後にワンポイント!
玉ねぎ炒めは強火でしっかり!
煮込むときは弱火でじっくり!
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どーでした?
スパイスだけで作るカレーって、一度覚えちゃえば実は簡単なんです!
4種のスパイスでおいしくできたら、自分の好きな香りを足して、4種5種6種と増やしてみるのもスパイスだけで作るカレーの「DELIGHTS」です。
試してみてください! 是非に!
書いた人:伊東盛
料理ユニット「東京カリ~番長」のリーダー。得意技は全国各地へカレーを作りに行く「出張カリ~」。雑誌・書籍・WEB等でのレシピ紹介やカレー関連商品の監修、飲食店のメニュー開発などを手掛ける。週に一度“間借り”でカレー屋を営業中。
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