近年、あおり運転に関するニュースが急激に増えています。あおり運転は周囲を走る車に対して執拗に迷惑行為を行う卑劣かつ大変危険な行為です。いつ誰が被害者となるか分からないあおり運転ですが、最悪事故に発展してしまう可能性もあります。この記事では、できるだけあおり運転の被害に遭わないようにする対策方法や万が一被害に遭った場合の対処法などを解説していきます。
もくじ
あおり運転の現状
2人に1人は被害経験アリ
参考:チューリッヒ保険会社「2022 年あおり運転実態調査」
全体の約半数である51.3%、すなわち約2人に1人はあおり運転を受けた経験があるとのデータが出ています。自分があおり運転の被害者となってしまう、もしくは何らかのきっかけで加害者側となってしまう可能性も意外と身近にあるかもしれません。
あおり運転の内容
参考:チューリッヒ保険会社「2022 年あおり運転実態調査」
あおり運転の内容は、"自分の車に後車が激しく接近してきて、もっと速く走るように挑発してくる被害"が7割以上と圧倒的に多くなっています。また少し類似していますが、運転している車を道路際へ寄せたり横並びの車に接近するような”幅寄せ被害”も続いて多いようです。
あおり運転は犯罪?
令和2年6月10日に「妨害運転罪」としてあおり運転に対する罰則が創設されました。これにより他の車両等の通行を妨害する目的で危険な運転を行うことは厳正な取締りの対象となり、最大で懲役3年~5年の刑に処せられることとなりました。さらに、妨害運転をした者は運転免許を取り消されることとなっています。
あおり運転の被害を避けるために
あおり運転は基本的に加害者が悪いのですが、被害者側の運転の仕方やマナーによってはあおり運転を誘発する引き金になってしまうことがあります。以下にて、被害者とならないよう日頃から注意する点をご紹介します。
余裕ある心と運転を
スムーズに道を譲る
後車が何かしらの緊急事態で急いでいるときに、自身が安全運転を意識しすぎて走行スピードが制限速度よりも大きく下回った状態であるなど、双方の走行ペースの相違があおり運転の原因となる場合があります。あおり運転は許されない行為ですが、万が一後ろから急かされるようなアクションをされたらすぐに道を譲ったり追い越させることで場が穏便に収まることもあります。
特に、片側車線しかないような下道や国道では、周囲の走行速度やその時の状況に合わせた運転を心がけた方が無難でしょう。
「急」な動きをしない
急な割り込みは相手に不快感を与えあおり運転を誘発させてしまうことがあるかつ、運転マナー的にもアウトです。割り込み行為は一歩間違えると衝突事故に繋がってしまう可能性もあるため避けましょう。
また、わざとでなくてもふとした時の急発進や急ブレーキをきっかけに仕返しをされてしまうこともあるようです。そのようなきっかけを作らないためにも、ナビ等を活用しながら先の道路状況をしっかり確認し、時間や心にゆとりを持って運転することが大切です。
追い越し車線に居座らない
急いでいるときなどに起こりがちですが、速度を出してスムーズに走行できるという理由で、追い越し車線上を長時間運転することはやめましょう。追い越し車線は先行車を追い越すための車線なので基本的にその上だけを走り続けることは認められていないかつ、周囲のドライバーに迷惑がかかってしまいます。
注意ポイント
無意味に追い越し車線を走り続けると「通行帯違反」、故意に道を譲らなかった場合は「追い付かれた車両の義務違反」となりそれぞれ反則金6,000円(普通車の場合)、違反点数1点が加点されてしまいます。
ドライブレコーダーの装着も
あおり運転対策としてドライブレコーダーの装着は必須だといっても過言ではありません。ドライブレコーダーを装着せずにあおり運転被害に遭ってしまった場合、警察や加害者などに提示できる明確な証拠を残せなくなってしまうため無駄な時間や労力が掛かってしまいます。昨今はスマホアプリでも近しい機能のものが開発されつつあるため、購入を迷っている場合はまずアプリを試してみてもいいかもしれません。
また合わせて車体にドライブレコーダーステッカーを貼っておくことで、あおり運転を録画されることを恐れさせ加害者側の気を抑えることができる可能性もあります。
あおり運転に遭ってしまったら
第一に身の安全を確保
まずは冷静になる
冷静さを失いパニックになってしまったり対抗してやり返してしまったりなどすると、あおり行為をエスカレートさせたり、最悪ほかの車両にも被害が及ぶこともあるでしょう。まったく動じないというのは難しいかもしれませんが、まずは心を落ち着かせてできる限り冷静でいるよう意識しましょう。
安全な場所に停車
あおり運転を避けるために車を停車させる際も注意が必要です。周りの安全を確認せずに急停車してしまうと、後続車を巻き込んだ追突事故などに発展しかねません。車を止める場合は、路肩に寄るか安全な場所へ移動してから停車するようにしましょう。
ドアや窓を開けない
ヒートアップした加害者が車から降りて直接掛け合おうとしてくるケースもありますが、絶対に鍵や窓を開けてはいけません。あおり運転の延長で罵声を浴びせたり、暴行を加えてきたりする事件は実際に起こっています。
できれば犯人の特定や通報も
ナンバーと車種を記録
ドライブレコーダーの映像は不鮮明でナンバーや車種がはっきりとわからないことも多くあります。可能な限り相手の車のナンバーと車種はしっかりと控えておきましょう。車種名がわからない場合も、メーカーや車の形、ライトなどの特徴、色は覚えておきましょう。
身の危険を感じた場合はすぐに通報
事故や暴力などに発展しそうな身の危険を伴うあおり運転の場合は、即時に110番通報をしましょう。後日の通報ではなくなるだけ早い通報をすることで、ドライブレコーダーの動画を加味した状況説明や走行している位置などをリアルタイムで共有することでスムーズな犯人の特定につながります。
本来、走行中の携帯電話の使用は禁じられています。しかし、道路交通法の第71条5の5には「傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。」との記載があります。事故や暴力などに発展しそうな危険を伴うあおり運転の場合は、走行中に通報しても違反になりません。
交通事故に発展してしまったら?
過去にはあおり運転が原因となる交通事故が実際に発生しており、中には被害者が死亡したケースもあります。万が一事故に発展してしまった場合は速やかに警察と救急車を呼びましょう。
保険会社にも連絡をし、車が動かない場合はレッカー車の手配も必要です。あおり運転を行う加害者は感情的になりやすいタイプも多いため、できるだけ円滑にことをすすめられるよう任意保険の弁護士費用特約なども役立つかもしれません。
万が一に備える任意保険
車を運転するときは必ず「自賠責保険」に加入しますが、任意で加入できる「任意保険」にもしっかりと加入をしておきましょう。どんなに自分が気を付けていても、あおり運転による一方的な危険行為によって予測できない事故に巻き込まれてしまうこともあります。このような事故時には、任意保険で賄うことのできるレッカー車手配のロードサービスや弁護士特約などが役立つでしょう。
まとめ
今回は、あおり運転の被害に遭わないようにする対策方法や万が一被害に遭った場合の対処法などを説明しました。あおり運転は2人に1人が被害経験のある身近なトラブルです。加害者が悪いことはもちろんですが、自分自身だけでなく同乗者を守るためにも時間や心に余裕を持って運転し、できるだけ被害者になるキッカケを作らないよう努める必要もあります。
また万が一の事態に備えて任意保険にもしっかりと加入しておきましょう。自動車保険一括見積もりサービスなどを利用することで、効率よく自分に合った任意保険を選ぶことが可能です。