車が走行するうえでエンジンは非常に重要なパーツであり、(どのパーツでも必要ですが)故障してしまったら修理が必須です。しかし、エンジンは修理費用が高額になりやすいパーツです。もしエンジンが故障してしまった場合、車両保険で補償を受けることはできるのでしょうか?
もくじ
故障は基本的に車両保険の対象外
車両保険は偶然な事故によって契約車両が損害を負ったときにその損害を補償するものです。そのため、一般型でもエコノミー型でも車のエンジンが経年劣化などで故障したという場合には車両保険を使えません。
メーカー保証を確認しよう
新車を購入したのに数年で故障してしまったという場合はメーカー保証を確認してみましょう。保証期間内で保証を受けられる条件に合致している場合は無料で修理を受けられます。
エンジン機構など車の走行や安全にかかわる重要な部品については特別保証として一般保証よりも長い期間保証を受けることができます(例えば、一般保証が新車から3年間または6万km走行時点のいずれか早い方なのに対して、特別保証が新車から5年間または10万km走行時点のいずれか早い方など)。
ただし、点検・整備を実施していなかったり、車の使用方法が不適切であったりした場合には保証対象外となる場合もあります。定期的に点検・整備を行うようにしましょう。
車両保険を使える場合は?
経年劣化ではないエンジンの修理費用について車両保険で補償を受けられる場合もあります。事故によってエンジンの修理が必要となった場合や洪水で車が水没してエンジンが故障してしまった場合などです。より具体的に一般型・エコノミー型での違いや等級の下がり方も含めて説明します。
事故によってエンジンに損害が発生した場合
車対車の事故や自損事故など事故によってエンジンに損害が発生して修理が必要となった場合には車両保険で補償を受けることができます。ただし、車両保険がエコノミー型の場合では、自損事故などの場合に補償を受けることができないのでご注意ください。車両保険を使用した場合、翌年度の等級は3等級ダウンし、事故有係数適用期間が3年間加算されます。
一般型とエコノミー型で補償の対象となる事故の違いは以下の表のとおりです。
一般 | エコノミー | |
---|---|---|
車やバイクとの事故 (相手が判明している場合) | ○ | ○ |
当て逃げ(相手不明) | ○ | △※ |
自転車との衝突・接触 | ○ | × |
電柱・建物などとの衝突や接触 (単独事故) | ○ | × |
転覆・墜落 | ○ | × |
火災・爆発・台風・洪水・高潮など | ○ | ○ |
盗難・いたずら・落書き | ○ | ○ |
窓ガラスの損害・飛び石による損害 | ○ | ○ |
地震(津波や地震起因の火災含む)・噴火 | × | × |
※当て逃げについて、保険会社によってエコノミー型でも補償対象となる場合とならない場合とに分かれています。
洪水など自然災害によるエンジン故障の場合
洪水でエンジンが水に浸かってしまったなど自然災害でエンジンが故障してしまった場合には車両保険で補償を受けることができます。車両保険が一般型でもエコノミー型でも対象となります。車両保険を使用した場合、翌年度の等級が1等級ダウンし、事故有係数適用期間が1年加算されます。なお、自然災害であっても地震・噴火・津波による損害の場合は車両保険の対象とはなりません(一部の保険会社では全損時に一時金を受け取れる特約が用意されています)。
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いたずらによってエンジンが故障した場合
ケースとしては多くないと思いますが、車にいたずらされてエンジンが故障したという場合も車両保険を使うことができます。いたずらの場合は一般型でもエコノミー型でも補償対象です。車両保険を使用する場合、翌年度の等級が1等級ダウンし、事故有係数適用期間が1年加算されます。なお、いたずらは犯罪行為であることに加え、車両保険を使うのに警察への被害届が必要となることがありますので、いたずらに気がついたら必ず警察に通報するようにしましょう。
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ロードサービスは利用可能
エンジンが故障してしまったという場合、車両保険を使うことはできませんが自動車保険に付帯するロードサービスは使うことができます。エンジン故障の場合、車が自力走行できなくなることが考えられますが、そうした場合のレッカーサービスや宿泊費用・帰宅費用の補償などのサービスを受けられます。ロードサービスは利用しても等級に影響しないので安心です。
保険会社によって無料のレッカーサービスの距離や宿泊費用・帰宅費用の有無、補償される場合の限度額など提供しているロードサービスの内容が異なりますので、保険会社選びに迷ったときに一つの判断材料としてみるのもよいでしょう。
まとめ
エンジンに限らず、車の故障は基本的に車両保険で補償を受けることはできません。ただし、事故や自然災害、いたずらなどによってエンジンが故障した場合には車両保険を使うことができます。原因によってエコノミー型でも対象となるのか、何等級下がるのかが異なるのでご注意ください。また、故障であってもロードサービスは利用できます。保険会社によってロードサービスの内容が異なるので比較してみるとよいでしょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。