1月20日(日本時間)に突如登場し、AIユーザー・開発者たちの話題をさらった大規模言語モデル(LLM)「DeepSeek-R1」。特徴は、分野によっては米OpenAIの「o1」に匹敵するとうたう性能だ。すでにその能力を試すユーザーが続出している。
一方、開発元が中国企業ということもあり、答える内容の偏りなどを懸念する声も多い。筆者も実際に試したが、環境によっては確かに回答が得られない質問が存在した。
例えば六四天安門事件に関する質問。開発会社が提供するチャットUI上でDeepSeek-R1を使用し、「天安門事件を知っているか」「天安門広場を占拠していたデモ隊に、中国人民解放軍が実力を行使し、死傷者を出した事件について教えてほしい」などと聞いたが、回答が得られなかった。
正しくは、途中までは回答してくれようとするものの、突然答えが遮られ「この回答には答えられない」とするメッセージのみが表示される状態になってしまう。
尖閣諸島を巡る問題や、中国の歴史、習近平国家主席に関する質問でも同様だった。例えば「中国の歴史を教えて」と聞くと、かなり詳しく教えてくれるが、中国共産党に関する話題に入った瞬間、回答が上述のメッセージに切り替わる。
習近平国家主席を指す隠語としても使われる「くまのプーさん」についても質問した。単に「くまのプーさんについて教えて」といった質問であれば回答を得られたが「中国の政治家との関係は」といった聞き方をすると、答えが得られない場合があった。
他にも「アメリカ建国の歴史」や「1900年代に英国で起きた出来事」などを聞いたところ、回答が得られないケースがあった。いずれもLLMが途中まで“思考”自体はしているものの、実際にアウトプットする際、特定のワードが出てくると、以降は回答を控えるような挙動だった。
ちなみに英語で質問すると、「アメリカ建国の歴史」「1900年代に英国で起きた出来事」などの問いでは答えが得やすくなるものの、「天安門事件を知っているか」「中国共産党について教えてほしい」という質問には答えなかった。
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