「やらなくっちゃいけないのは分かりすぎるくらい分かってはいるんですけど……」。先送りを繰り返す、「先送リピーター」に、あなたもなっていませんか?
分かっていてもつい先送りを繰り返してしまう、なかなか手につけられない仕事を攻略するには?
今日はノリオプロジェクトの週次進捗ミーティングの日。ノリオプロジェクトとは、部門横断の新規事業プロジェクトで、ノリオ課長がその推進役として各部門からメンバーを借りる形で運営しています。ヒロシ主任とタカフミ君は組織上、マサヨシ課長の下で仕事をしているのですが、2人はともにノリオプロジェクトのメンバーとして、自部門の業務をこなしつつ、このプロジェクトの仕事も並行して進める立場にあります。
よいと思ったことは前例がなくてもガシガシ進めていく“やり手”のマサヨシ課長とは対照的に、ノリオ課長は一言で言えば浪花節的リーダーシップで部下の心を掴んでいます。ノリオ課長を慕う若い社員も少なくありませんが、担当部署は赤字にあえいでいます。そんなこともあり、今回の新規事業にかけるノリオ課長の意気込みは並々ならぬものがあるようです。
さて、ミーティングが始まりました。いつものように集まったメンバーが一人一人担当作業の進捗を報告していきます。そんな中、タカフミ君は入社以来の窮地に立たされています。
タカフミ君 (マズイなぁ…、先月からずるずる先送りしまくっていて、結局今日も「アレ」やってないんだよなー。今回は何て言い訳しようかなー。もう一通り使い切ったっぽい。うぁぁぁぁ……)
ヒロシ主任 ん? タカフミ君、なんか顔色が悪いみたいだけど、大丈夫か?
タカフミ君 へ? あ、ハイ、大丈夫です。
ノリオ課長 じゃぁ、次はタカフミ君、よろしく。
タカフミ君 は、はいっ。えと、僕の担当は市場動向の調査で、今週は、先月行ったグルイン(グループインタビュー)についてのリポートをこの場で発表する予定、だったんですが、すみませんっ! ちょっとバタバタしていて、まだ……。
ノリオ課長 できてないのかい?
タカフミ君 はい……。
ノリオ課長 まぁ、忙しいのは分かるけど、それはここにいるみんなも同じことだからねぇ。
タカフミ君 えーと、先週はちょっと──。
ノリオ課長 いやいや。ま、原因は何であれ、そこを追及しても仕方がない。それより今後はどうしたらいいだろう?
タカフミ君 うーん。どうも、自分にとってよく分からない仕事というのはつい後回しにしちゃうんです。
ノリオ課長 ふむ。そして、毎日のように先送りを繰り返してしまうわけだ。
タカフミ君 はい。
ノリオ課長 よく分からないから先送りする、と。いつもやっている仕事はよく分かっているから、だいたいのメドが分かる。つまり、手をつけやすい。
タカフミ君 まさにそうです。それが──。
ノリオ課長 分からないまま翌日に持ち越しても、結局は前日と状況は変わらないから、再び同じことが繰り返される、と。
タカフミ君 はい、えんえんと。やらなくっちゃいけないのは分かりすぎるくらい分かってはいるんですけど。
ノリオ課長 そうか。タカフミ君は、典型的な「先送り繰り返し症候群」だな。またの名を「先送リピーター」という。
ヒロシ主任 なんか、先送りの「ピーター」みたいで意味不明ですけど。
ノリオ課長 まぁ、とにかくそのピーターを何とかせんとな。ピーターじゃなくてチーターのように素早く仕事を片付けられるようにな。
ヒロシ主任 (うまいんだかうまくないんだか)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.