インドやアフリカを中心にスマートフォンを展開するTranssionグループ。Tecno、infinix、Itelの3社を傘下に収めており、インド、アフリカ、東南アジア地域の新興国を中心に人気を博している。
その中でもTecnoとは技術投資も盛んなメーカー。Tecnoでは2024年8月にトライフォールド(3つ折り)スマホのコンセプトモデルを公表しており、そのときは2025年の初頭に体験できるとアナウンスされていた。今回、MWC Barcelona 2025にて予定通り3つ折りスマホのコンセプトモデル「TECNO PHANTOM ULTLMATE 2」の実機がお披露目された。
TECNO PHANTOM ULTLMATE 2は2024年の8月に公表されたコンセプトモデルで、3つ折りディスプレイを用いたさまざまな利用方法を提案する試作モデルとしていた。Huaweiの3つ折りがうわさされる中での公表は、日本でもマニアを中心に衝撃を与えた。
TECNO PHANTOM ULTLMATE 2はMediaTek製のプロセッサを採用。10型、3K解像度のディスプレイを3つに折りたたむ仕様となっている。コンセプトモデルのため、これら以外の情報は明かされていない。基本的にはHuaweiの「Mate XT ULTIMATE DESIGN」と同じく、1枚の大型ディスプレイを3つに折るスタイルを採用している。
3つ折りで閉じた状態は6.46型のディスプレイが表示され、一般的なスマートフォンのような印象を受ける。この状態での厚さは11mmとなっており、HuaweiのMate XT ULTIMATE DESIGNの12.1mmよりもさらに薄い。
1つ開いた状態での画面は7.8型となり、Galaxy Z Fold6などと同じような感覚。Huaweiと異なりカメラ側に厚みが寄っていることから、重量バランスが偏ることもないという。ソフトウェアについても、画面サイズが異なる際やフレックスモードの際には画面のUIも合わせて変更する仕様となっている。
本体を薄くできた理由として、最薄部0.25mmという極度に薄いバッテリーを採用したことが大きい。これによって強度を保ちつつ薄型化できているとした。その一方で、全体的に薄いHuaweiと異なり、カメラ部と端子のある部分がやや厚くなっている。これについては「本体をつかみやすくするため」との説明だった。
ヒンジの構造もしっかりしている。本体は隙間なく閉じることができ、展開途中の「Z」の形状でも自然に可動することはない。動作感はMate XT ULTIMATE DESINGよりもさらに固そうな印象も受けたが、耐久性は備えていると感じた。本機種のヒンジは30万回の折りたたみ動作に耐えるとのこと。
Tecnoの本機種はコンセプトモデルなので、このまま販売する予定はないものの、正直なところ、コンセプトとは思えないほどハードウェアの完成度が高いと感じた。ソフトウェア面もフレックスに変化していることを踏まえると、ある程度は最適化されていると感じた。
Tecnoは3つ折りスマホの開発に注力しており、今後も技術開発を続けていきたいとのこと。特に薄型化の技術は同じく展示したコンセプト「SPAPK Slim」にも通ずるもので、今後の商品展開にも反映させてくると考える。
3つ折りスマートフォンにも完成度の高いコンセプトモデルが現れたことで、2025年は「3つ折りスマホの競争」が早くも起こると考える。現時点ではHuaweiの一択だが、開発を明かしたサムスン、コンセプトを公表したTecnoからもそう遠くないうちに3つ折りスマホが登場してくれば、コスト面でも競争が起こりそうだ。
Tecnoもコンセプトモデルはコストがかかっているとしつつも、「われわれは折りたたみスマホも魅力的な価格で発売した。3つ折りスマホも期待を裏切らない価格で展開したい」とブース担当者は答えてくれた。
バルセロナで見つけた3つ折りのスマートフォン。こんな機種が今後Huawei以外の各社から出てきたら、また市場が面白くなることは確実だ。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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