「お騒がせしてすみません」「お待たせして申し訳ありません」――生協の白石さんは、心から恐縮した様子でこんな言葉を繰り返した。
11月12日、東京農工大学の学園祭で「生協の白石さん」サイン会が行われ、整理券配布前から100人近くが列を作った。同書の著者で農工大生協の職員・白石昌則さんは、サインを求める1人1人に声をかけながら、「ひとことカード」に「ありがとうございました」などと書き入れた。
「生協の白石さん」は、農工大生協のアンケート用紙「ひとことカード」の内容をまとめた本(関連記事参照)。その絶妙な受け答えがネット上で話題になり、11月2日に書籍化された。Amazonの売り上げランキングは常に1位。ネット書店だけでなく実店舗でも売れ、紀伊国屋書店でもランキング1位に。テレビや雑誌、新聞でも続々紹介されている。
当の白石さんはこの状況に「お騒がせして申し訳ない」とひたすら恐縮する。サイン会でも1人1人に「お待ちいただいてすみません」「どちらからいらっしゃったんですか? 遠くから来ていただいてありがとうございます」「(もっとかっこいい人を想像していただろうに)がっかりさせちゃってすみません」などと話し、「学園祭をぜひ楽しんでください」と声をかけていた。
サインを求めて並んだのは、在校生や在校生の母親、卒業生、近所に住む親子連れ、白石さん人気をネットで知ったIT企業の社員など実にさまざま。白石さんに「大変そうですががんばってください」「いつも楽しみにしています」などと話しかけ、プレゼントを渡す人もいた。
前日からたっぷり眠ってサイン会に備えていたという白石さんは、サイン会終了後、「みなさん『大変ですね』などと言ってくださって、気を遣っていだたいているのが痛いほど分かりました。風も強くなってきて肌寒いのに、ずっと待っていただいて申し訳なかったです。学園祭も楽しんでいただければと思います」などと丁寧にコメント。テレビのインタビューや新聞の取材に次々に応じていた。
これまで顔を出していなかった白石さんは、「みなさんをがっかりさせるのが申し訳なくて」今回も顔出しNG。「外に出て何かを話すたびに、みなさんのイメージを崩してしまう」と恐縮していた。
本が売れても私生活に特に変化はないという。しかしテレビなどで取り上げられるたび、ひとことカードに、生協の業務とは関係ない“ネタ”的な投稿が増えると少し困った様子だ。「あくまで生協への要望を伝える掲示板ですので、まじめな投稿をお待ちしています!」
農工大の学園祭は13日まで(サイン会は12日のみ)。
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