インターネット検索大手の米Googleに関する新著によれば、同社は今年初め、何人かの著名な科学者と手を組み、人間の遺伝子に関する情報をより利用しやすくするための取り組みに着手したという。
ピュリツァー賞受賞作家デビッド・バイス氏の新著「The Google Story」によれば、Googleと科学者らは、このプロジェクトが将来の医療を大幅に改善し、医療・遺伝子研究のペースを大いに加速することになると考えている。
この書籍によれば、Googleは既に、遺伝学者のクレイグ・ベンター氏や米国立衛生研究所(NIH)の遺伝学者らがマッピングした人間の遺伝子、約3万セットの詳細にアクセスしている。
この書籍には、執筆に際して取材を受けたベンター氏が、このプロジェクトについて、「遺伝学者たちがこれまで何十年も前からやりたいと思ってきたことだ」と語ったと記されている。
「我々は世界で最大規模のコンピュータを使う必要がある。我々はGoogleと協力することで、地球上のすべての遺伝子の特徴を調べ、その進化的発生を理解しようとしている」と同氏は語ったという。
このようなプロジェクトが論議を呼ばないはずはない。人々は既に、インターネットには個人情報が溢れ過ぎていると懸念している。遺伝子には、身体上の特色や疾病素質などのカギが含まれているため、そうした遺伝子情報がオンラインで入手できるとなれば、プライバシーをめぐる懸念がますます高まるのは必至だ。
11月21日に取材に応じたベンター氏の代理人は、このプロジェクトに疑問を投げ掛け、「現在、Googleとは何もプロジェクトは進めていない」と語り、それ以上のコメントは断っている。
バイス氏に取材したところ、同氏はベンター氏の代理人の発言に驚いた様子だった。バイス氏によれば、この書籍が先週発行される前に、正確を期すためにベンター氏の代理人とGoogleが関係個所をチェックしており、両者とも「遺伝子のGoogle検索」についての言及には異議を唱えなかったという。
Googleの広報担当者に電話でコメントを求めたが、返答は得られなかった。Googleは通常、将来のプロジェクトについてはコメントをしない。Googleはかねてから、同社がプライバシーの問題を認識しており、新しい検索サービスを導入したり、事業を進めたりする際に「悪事」を行うつもりはないという姿勢を示している。
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