11月29日、東京・六本木の「ニコファーレ」で党首討論が開かれ、その様子は「ニコニコ生放送」で生中継された。筆者もネットで見ていたが、ともすれば退屈になりがちな政治家の主張も、コメントの“ツッコミ”と一緒に見ることである種のエンターテインメントとして楽しめると感じ、ニコ動のポテンシャルを感じた。
ただ気になったのは、ユーザーからのコメントは安倍晋三・自民党総裁の応援が多かったように感じられたことだ。ニコ動ユーザーからは各党首の発言に辛辣なツッコミが飛ぶことが多かったが、安倍総裁の発言時は応援や賛意のコメントが目立って多かった。
党首討論の実施に先立ち、民主党の安住淳幹事長代行はニコニコ動画について「極めて偏った動画サイト」と発言。ドワンゴはこれに対し、「根拠の無い誹謗中傷」と抗議していた。
確かに、ニコ動を動画プラットフォームと考えると、誰もが参加できる「中立」なサイトだ。しかし、党首討論のコメントの傾向からは、ニコ生放送中にコメントを投稿する人には一定の偏りがあることが浮き彫りになったように思う。
インフラは中立だが(インターネットがそうであるように)、その上に人が集うコミュニティーには特定の傾向があるのは当然のことだ。一口に「ニコ動」と言った時、動画サイトとしてのニコ動と、コミュニティーとしてのニコ動という2つの意味を含み、これらが分かちがたい面もあるのがYouTubeやUstreamと異なるニコ動の魅力でもあるのだが。
次に同様な試みがあるならば、コメントをオフにして見れば、偏りを感じずに済むかもしれないと思ったが、それだとテレビと何も変わらないなぁ……。
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