グリーの藤本真樹CTOは12月4日に開いたメディア向け技術説明会で、オープンソース(OSS)への取り組みを拡大していくと語った。PHPコミュニティーに積極的に貢献してきた1人で、PHPの国産フレームワーク「Ethna」のメイン開発者としても知られてる藤本CTO。グリーのサーバサイドソフトウェアも99%がOSSという。
「こういう言い方をすると偽善っぽいが」――藤本CTOは何度もそう断りながら、「ネットサービスはOSSなしでは実現できない。OSSのシュリンクは、サービスや業界のシュリンクにも直結する」と話す。同社のサーバサイドソフトは、OS(Linux)、データベース(MySQL)、Webサーバ(Apache HTTP Server、nginx)、プログラミング言語(PHP、Ruby)などほぼすべてがOSSで、「OSSなしでは続けるのが無理」な状態だ。
同社はOSS関連のイベントなどをスポンサードしたり、コミュニティーを支援したり、自社開発ソフトやライブラリをOSSとして公開している。OSSコミュニティーへの貢献は、自社の利益に直接はつながらないが、「会社、国の垣根を越えてOSSを盛り上げないと、ネットサービスが成長していかない」という思いがあると、藤本CTOは言う。
ソフトのOSS化は、企業活動に直接のメリットをもたらすこともあるという。例えば、メンテナンスコストの削減。ソフトを社内にとどめておくと、開発担当者の手がメンテナンスに取られてしまうが、OSSとして公開すれば、社外のエンジニアを含めて多方面からフィードバックが得られる。OSSコミュニティーに貢献したエンジニアが社外の技術コミュニティと横のつながりができ、モチベーションアップにつながったり、OSS化された同社ソフトを社外のエンジニアが見て、同社の採用に応募するきっかけになることもある。
藤本CTOは、Webサービスのスマートフォンシフトが、OSSにとってマイナスになる可能性を懸念している。スマートフォンのネイティブアプリは、クライアント端末にアプリのコードを再配布・複製することになる。例えば、コードをすべて公開することを義務付けているGPLライセンスのOSSがアプリに含まれていた場合、アプリのコードもすべて公開しないと、ライセンス違反になってしまう。
「スマホのネイティブアプリでは、OSSが使いにくい場面が出てくる可能性がある。OSSに対して必要以上にネガティブになったり、活動がシュリンクするのが怖い。だからこそOSSのライセンスを正しく理解するのが大事」と藤本CTOは呼びかける。
グリーのOSSへのコミットは「GoogleやFacebookなどに比べるとまだまだ」という認識だ。世界で勝負しようとすると同程度のコミットが求められてくるだろう。頑張っていきたい」とした。
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