NAKANISHIさんは英語が大の苦手だが、「何がどうヒットする分からない。チャンスの幅を広げたい」とWeb翻訳を頼りに英語版を作ってきた。「英文が多少間違っていても、日本語であるよりは意味が通じるだろうと」。実際、初アプリの「Light touch 10」は当初、海外ユーザーがほとんどだった。その後、俺の校長に掲載したアプリ紹介からLight touch 10を知ってダウンロードしてくれる日本のユーザーが増え、割合が逆転したが、今も2割ほどが海外からという
英語版だけではない。「牛丼スタックタイマー」は、中国語版(簡体字・繁体字)まで公開。「中国は人口が10倍。マーケットとしておさえておきたい」と考えたためだ。中国語は「さっぱり分からない」が、Web翻訳を頼りに作ったという。
俺の校長がヒットしたのは、「日本人向けに開発したからでは」と考えている。「グローバルに通用するにはグローバルなセンスが必要。もとよりわたしは日本人で、まわりの人間にクスッとしてもらいたいという気質があり、その相手も日本人、というのが一番妥当だったようです」
絵を描くのが好きで、クロッキーなど短時間で瞬発力が必要なものが得意という。アプリ開発も、頭に浮かんだ妄想を瞬発力で形にするスタイル。俺の校長をプレイした人は「人の頭の中をのぞいた感覚になる」と表現する。
NAKANISHIさんにとっては、アートもアプリ開発も同じ「表現の場」だ。「芸術分野で、『作品は自分自身』『作品を並べると裸を見られている気分になる』などと例える人がいます。まさに自分自身を評価してもらえる場……表現の分野を学んでいたころと、根本の考え方は変わっていない感じです。自己表現というのは、なにも絵で表さなくても、オブジェでなくても良いと思っています」
iPhoneアプリなら、自分の“作品”を世界中の人に遊んでもらえる。「iPhoneアプリは空想やアイデアを形にしやすく発表しやすい、自分にはうってつけの表現分野に思いました。画廊に絵が並ぶか、App Storeにアイコンが並ぶか。一般個人から巨大なマーケットを背景に世界規模を相手にできたのだから、後者を選んだ自分の選択は正しいかったと思います、今のところは」
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