ヤフーは11月1日、検索機能と3Dプリンタを融合し、入力した文字列を3Dプリンタで立体物として出力する「さわれる検索」プロジェクトの活動報告を行った。9月に東京・文京区の盲学校にコンセプトマシンを設置し、これまでに児童によって92個の3Dモデルが出力されたという。
同プロジェクトは9月にスタート。筑波大学附属視覚特別支援学校にコンセプトマシンをテスト導入し、児童が自由に使えるようにした。約2カ月の期間中に「サソリ」や「マンモス」「スカイツリー」「雪の結晶」など、プロジェクトサイトに登録されているものだけで92個の3Dモデルが出力されたという。
3Dデータはヤフーがプリセットしたものに加え、企業や個人からも募集。児童の「さわりたい」という声に応じて追加した「ト音記号」「神社の鳥居」などを含む57個のデータが国内外から提供され、最終的には242種類の3Dデータが登録されたという。
同校の星祐子副校長は「児童にとって、危険なので実際には触れない動物や、教科書には載っているが形を知らなかったものなどを触って理解できる喜びは大きかったようだ。『トビウオと飛行機って形が似てるね』『ニュースで聞いた竜巻ってこんな形なんだ』など、触ることで新しい発見をしながら世界が広がったと思う」と話す。
今後は「さわれる検索」のオープン化を進める。海外の3Dデータ共有サイト「Thingiverse」とAPI連携し、出力可能なデータを約10万点以上に拡大。アプリケーション部分はオープンソース化し、ソースコード共有サイト「GitHub」で12月上旬に公開予定。同アプリをインストールしたPCと市販の3Dプリンタがあれば、世界中で「さわれる検索」を利用できるようにするという。
テスト期間中に利用したコンセプトマシンは筑波大学に寄贈。11月から来年2月にかけて同大系列の特別支援学校2校に貸し出し、その後は同大での研究に活用される予定だ。
ヤフーの荒波修執行役員は「当社が提案した“インターネットの未来”に対し、国内外から多くの問い合わせがあって手応えを感じた。検索したものが触れる実体として出力されると強く印象に残り、好奇心をかき立てることも分かった。今後は広告やプロモーションの分野への活用も本格的に模索していきたい」と話している。
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