この記事は認証セキュリティ情報サイト「せぐなべ」に掲載された「架空世界 認証セキュリティセミナー 第15回『現実とゲームが溶け合う認証【ポリスノーツ】」(2018年2月8日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。当時未発売だった製品やサービスの記述などは、本記事掲載時の状況に合わせて編集しています。
……それでは講義を始める。
前回は「アヴァロン」を題材に、オンラインVRゲームで必要な認証について、そしてパスワードに替わる「パスフレーズ」による認証を見ていった。結構内容が濃かったと思うのだが、いかがだっただろうか。
さて、今回は「現実とゲームが溶け合う認証」と題して、ちょっと変わった認証の形態を紹介する。題材として取り上げるのは小島秀夫監督作品のゲーム「ポリスノーツ」だ。
小島監督といえば骨太なシナリオと緻密なSF設定で知られているが、一方でゲームならではの遊び心満載のギミックを実装してくるのは、小島監督作品を遊んだことのある諸君ならご存じだろう。それと認証がどう関係あるのか、見て行くこととしよう。
まずは基本データから紹介しよう。1994年にNECのPC「PC-9821シリーズ」用に発売されたタイトルで、当時PC用ゲームとしては珍しかったCD-ROMを媒体として使用したことも話題となった(※1)。
その後、1995年には 米国の3DO社が開発し、提唱した32bitマルチメディア端末の統一規格「3DO」で、1996年には「プレイステーション」「セガサターン」でも発売された。このタイトルを知っている諸君も、ほとんどはプレイステーションかセガサターンで遊んだのではないだろうか?
※1:ただし、同時期に富士通がマルチメディアPC「FM-TOWNS」を展開しており、そちらではCD-ROMが標準媒体だったため、PC市場全体から見れば珍しいものではなかった。当時PC市場で覇権を握っていたNECのPCで、本格的ゲームがCD-ROMで登場したのが珍しかったという意味である。
あらすじを紹介しよう。2010年、人類はスペースコロニー「ビヨンド・コースト」を完成させ、移住を開始した。
2013年には大量移住に対応すべく、世界中から選抜された5人の警察官が宇宙飛行士としての訓練を受け、ビヨンドの治安を守るべく配備された。警官(ポリス)であり宇宙飛行士(アストロノーツ)である彼らを、人々は「ポリスノーツ」と呼んだ。
最初のポリスノーツの1人である「ジョナサン・イングラム」は、任務中の事故により宇宙空間を漂流することとなる。人工冬眠状態で眠っていた彼が奇跡的に救助された時には、既に25年の年月が過ぎていた。
時代から取り残され、宇宙恐怖症となったジョナサンは、地球上のオールドロス(現代のロサンゼルス)で私立探偵を営んでいる。そんな彼の元にある日、ビヨンドから1人の依頼人が訪れる。その人物はかつての自分の妻であった……。
警察ものとしては映画「リーサルウェポン」をはじめとしたバディもの(※2)の側面を見せるほか、宇宙に関する緻密な考証、そして麻薬「NARC」と製薬会社「トクガワ製薬」を巡る医薬品不正と、さまざまな面を見せる作品である。
※2:2人の人物が事件に向かう形のドラマのジャンル
さて、認証についての話である。ゲームの中盤、証拠となりそうなトクガワ製薬のCD-ROMを入手するジョナサンたち。端末の操作を進めると、パスワード入力画面になる。画面表示には「Click SATAKE employee code」という文字列と、幾何学模様がずらっと並んでいる……。この場面、ゲーム内では全くのノーヒントである。どうやって解けばいいのだろうか?
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