岩谷マテリアルのオリジナルブランド「I'm D」(アイムディー)の「ENOTS(エノッツ) フロアチェア」は、分かりやすくいえば、リニューアルされた座椅子ということになる。しかし、その形状を見れば分かるように、座椅子とは全く違う。どちらかというと、これは低い椅子だろう。だから、商品名も「フロアチェア」となっている。
新しい座椅子だよといわれると、なんとなく納得してしまいそうだが、実際に製品を使ってみると、その存在理由というか、インテリアとしての在り方が座椅子とは思えなくなる。座ってみると、意外にも椅子として快適で、だらだらしたり、ローテーブルと組み合わせてPC操作したりといった、まるで仕事用の椅子のような使い勝手の良さがある。
こういう椅子は、たぶん今までになかったと思う。考えてみれば「フロアチェア」なんてカテゴリは、世界中探してもないのではないか。デザインも、未来的なような懐かしいような不思議な形で、しかも、結構、フローリングにも畳にも似合ってしまう。
考えるほどに変わった製品なので、これは話を聞いてみるしかないと、この物体をデザインしたデザイナーの橋田規子氏と、製造販売元である岩谷マテリアルのホームプロダクツ本部ライフデザイン課主任の安部智惠氏を訊ねた。橋田氏は、TOTOで水廻り設備のデザインに携わり、退社後、芝浦工業大学教授に就任されている。今回の取材も芝浦工大の研究室で行った。
「そうですね、座椅子とはだいぶ違いますね」と橋田氏。実際、リビングに置く低い椅子と言ったとき思い浮かぶのは、いわゆる「人をダメにするクッション」こと、ビーズクッションのようなものだろう。
「私はTOTOでデザイナーをしていたことから、岩谷マテリアルさんとの最初のお仕事は、お風呂の椅子とかだったんです。その流れで、樹脂製でリビングの真ん中に置けるようなものをやりたいね、ということを話していました」と橋田氏。
その時に作ったのが「ミニマルチェア」という製品。背もたれ付きの椅子を思いっきりミニマルにしたような製品で、デザインもとてもかわいい。ただ、どちらかというとスツールに近く、リビングの主役といった感じではない。そこから、発想が飛躍するきっかけは、意外なところにあったらしい。
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