まず少し、Lightningの歴史を振り返ってみたい。
冒頭で述べたように、Lightningは2012年に登場した。当時はiPodがまだあり、「iPhone 5」が登場した頃。それまで使っていたのは横長の「30pin Dockコネクター」だったが、これは大きくて裏表もあり、拡張性や給電能力にも限界があった。
そこで登場したのが「Lightning」だ。
コンパクトなコネクターで裏表を気にすることなく差し込めて、混乱も少ない。ベースとなる規格はUSBだが、多くの人に「より使いやすいインタフェース」として登場した。
Appleの独自規格であり、他社は当時、コンパクトなデジタル機器向けにはUSBの「ミニB」、もしくは「マイクロB」が使われていた。コネクターはコンパクトだが、裏表を含めた差し込みやすさの問題はあった。
「USB Type-Cコネクター」の規格が最終決定したのは2014年のことになる。ご存じのように、これも「コンパクトで裏表がなく、給電を含めた柔軟性が高い」という意味では、Lightningに近いところがある。
Apple1社で提供するものではなく、多数のメーカーが関わるものなので足並みがそろうにはさらに数年がかかったが、いまやiPhone以外のスマートフォンは、ほぼ全てUSB Type-Cを採用するようになった。
2021年9月、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、スマホなどの小型デジタル機器で使う充電インタフェースとして、「USB Type-Cに限定する」ことを義務付ける法案を提出した。
このルールは2024年秋までに施行されるため、Appleとしても「それまでにiPhoneのインタフェースを変更する」必然性に迫られており、その結果として、2023年発売のiPhone 15シリーズからUSB-Cを採用する……という流れに至った、ということになる。
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