半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net


(2015.07)
世代交代で変わる鉄道と駅の役割
ビジネス・ディベロップメント・マネジャー 合田 英了

本コンテンツの全文は、有料会員サービスでの公開となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。

自動車から鉄道への逆流

 かつて徒歩や人力車等、移動手段が制限されていた人々は、鉄道の誕生により、「移動の自由」を手に入れた。その後、マイカー元年(1966年)にトヨタ・カローラ、日産・サニーが発売されたことを皮切りに、今度は「移動の自在化」が可能になった。以降、自動車の利用者数は鉄道のそれを抜き、人々はロードサイドのレストランや総合スーパー、レジャー施設、地方の観光スポット等、好きな場所へ好きな時間に自由自在に移動するようになった。

 しかし近年、世代交代を背景に、自動車から鉄道への逆流が見られる。自動車や運転に興味関心がなく、鉄道で移動しながらネットや会話、食事、買い物を楽しむ世代が増えてきている。


自動車が売れない

 2014年の国内新車販売台数(登録車+軽自動車)は504万台だった。586万台だったバブル真っただ中の1990年と比べると、14%も減少している。2008年のリーマンショック以降、エコカー減税やエコカー補助金等、さまざまな政策により需要が下支えされてきたが、長期的に見れば国内新車市場はシュリンクしている。直近の動向を見ると、持続的 に減少している登録車(1990年の456万台から2014年の286万台に減少)に加え、好調だった軽自動車が、軽自動車税の増税の影響で2015年4月は前年同期比で23%の減少となった。今後、2017年の消費税増税の影響により業界ではさらなる販売台数の減少が見込まれている。

 国内新車販売台数の長期縮小の原因は、人口や収入の減少だけではない。1990年と比べて2014年の人口(15歳以上)が10%増、収入(1世帯当たり平均所得金額)が10%減だが、これだけでは14%もの減少分を説明できないのだ。

 実は、大きな原因は世代交代にある。世代とは、「同年代生まれの集団が、心理、道徳の発達段階や同じ社会的な役割を担うライフサイクル期に、社会的節目となるような同時代体験をすることによって、同質的な価値観や考え方が共有され、独自な社会現象を生む社会集団」のことである。国内では「バブル後世代」(1979~1983年生まれ)以降、収入に見合った支出をしない嫌消費世代(少子化世代:1984~1988年生まれ、ゆとり世代:1989~1993年生まれ)に変わり、自動車・AV機器等の家電製品離れが進んだ。たとえば20代の消費を見ると、自動車の平均購入数量は1980年に1,000世帯当たり96台だったのが2010年には56台に半減、テレビは同時期に61台から43台に減少している。

 嫌消費世代が自動車を買わないのは、現行の車種が彼らの欲する機能やスペック、コストにあわないからだけではない。自動車への欲望そのものがないからである。当社の調査では、自動車の必要度(生活になくてはならない)、購入意向ともに、バブル後世代以降、急速に低下していることが確認できる。この差は、年代よりも世代の方が大きい(図表1)。

図表1.世代と自動車意識



本コンテンツの全文は、有料会員サービスでの公開となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。


シリーズ「移動」のマーケティング


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2025.01.09

24年12月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のマイナス

2025.01.08

企業活動分析 富士フイルムHDの24年3月期は増収増益、過去最高を更新

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

2024.12.23

企業活動分析 BYDの23年12月期はEV・PHV好調で大幅な増収増益を達成

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

2位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

3位 2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area