独特のにおいを発するカメムシを原料にした、芳香剤の開発に挑んでいる兵庫県立大付属中学校(同県上郡町光都3)の3年生が同校で研究成果を発表した。学校周辺で捕った2種類のカメムシから、イメージとは異なる甘くさわやかな香り成分の抽出に成功。においをかいだ他の生徒らは「信じられない」と驚きの声を上げた。(豊田 修)
生徒の探究心を育もうと同校では毎年、専門家の指導を受けながら進める「プロジェクト学習」を実施。生徒たちは7人程度の班に分かれ、天文や動植物、防災などをテーマに研究に取り組んでいる。
カメムシ班は「嫌われ者のカメムシを社会の役に立てられないか」と研究をスタートさせた。同校と産学連携協定を結ぶアース製薬(同県赤穂市)の研究員や、県立人と自然の博物館(同県三田市)の職員が協力した。
21日にあった「プロジェクト学習発表会」では、カメムシ班の6人が登壇。学校周辺の調査で25種類のカメムシを採集し、甘いクッキーのようなにおいの「エビイロカメムシ」と、フルーティな香りの「マツヘリカメムシ」の2種類を原料に選んだと説明した。
香り成分を取り出す手順については、まず脱脂綿をカメムシにこすりつけてにおいを付着させた後、アルコールに漬ける。液体を蒸発させる装置「エバポレーター」を使い、無色透明の気体を抽出したとした。
採集できた個体数が少なく、商品化への道のりはまだ遠いが、会場では生徒が作成した商品デザインやイメージキャラクター、生徒が出演するCM動画も披露され、会場を沸かせた。
フラスコに入れた香り成分も展示され、多くの生徒が恐る恐るにおいを確認。「お菓子みたい」「さわやかな感じ」「香ばしい」などと感想を述べていた。
アース製薬の浅井一秀研究員(41)は「持続可能な開発目標(SDGs)の観点から、商品化の可能性はゼロではない」と関心を寄せた。カメムシ班の高野永翔さん(14)と高木隆成さん(15)は「とても面白い研究だった。みんなにカメムシのことを知ってもらえて満足」と笑顔で話した。