「バーチャルクリームジェネレーター」の開発に携わった千田知佳さん(右)と奥野達也さん

 年明け、体重計に乗って目を疑った。でも気の張る仕事始めにはたっぷりのクリームが食べたい--。そんな悩みの救世主となりそうなマシンが生まれた。「バーチャルクリームジェネレーター」はその名の通り、脂質も糖類もゼロのクリームを生成する。開発したのはイグ・ノーベル賞の受賞者、明治大学の宮下芳明教授が率いる研究室だ。夢のマシンの今を取材した。

 2024年12月の日曜日。東京・お台場の日本科学未来館では整理券を求める行列ができていた。人々のお目当ての1つは脂質ゼロ、糖類ゼロ、罪悪感ゼロの「バーチャルクリーム」が詰まったシュークリームだ。

シュークリームを試食する来場者。整理券を求める行列ができるほどの人気に(東京・お台場の日本科学未来館)

 「すごくなめらかでねっとりしてる。何でできてるんですか?」。中学2年生の娘とシュークリームを試食した女性(47)は戸惑う。中学1年生の息子と訪れた50歳代女性は「説明なしで食べたら気づかないかも。お菓子屋さんの本格的なものとはさすがに違うけど、スーパーで売っているスイーツくらいの満足度はある」と笑う。