「資金繰りに困り、身売り先を探していたが、見つからなかった」というのが、サービス終了に至った原因のよう。「サービスを有償化すればよかったのでは?」という見方もありますが、Xmarksはあえてその道を選択しなかったそうです。

では、なぜ、有償化に踏み切らなかったのか? Xmarksの公式ブログでは、以下の3つの点をその理由に挙げています。

 

1: 同期サービスへの課金は、自分たちの元々のビジョンにそぐわなかった

もともと「Foxmarks」は、ブックマークを大規模にクラウドソース化し、これらを集め、分析することで、価値ある新しいウェブサービスを創出することを目指していた。以後、このビジョンを受け継ぎ、様々なサービスを立ち上げたが、中でも、同期サービスの維持は、ブックマークからのデータ集成をできるだけ早く進めるために、戦略上、不可欠だった。

2: 「フリーミアム」化しても、十分な収益が見込めなかった

Xmarksは、Mozillaの「寄付」機能を使った、最初の拡張機能のひとつ。ダウンロードしたユーザに7米ドルの寄付をお願いしたが、これに応じてくれたのは0.001%未満と、芳しくない結果だった。

通常、「フリーミアム」モデルでは、ユーザの1~3%が有償サービスに乗り換えるといわれている。たとえば公表によると、Evernoteでは無償ユーザの2%が有償サービスに移っているようだ。

Xmarksの場合、200万ユーザの2%が有償サービスに乗り換え、年間10米ドルを支払うとすると、ここから得られる年間の収益は40万米ドル。一方、Xmarksの運営には、年間200万米ドル以上がかかっている。

小所帯で小規模に展開している開発ベンダーであれば、有償化するのも一法かもしれないが、我々は上で述べたとおり(1.を参照)、高い志をもち、これまでにデータ集成の技術開発に900万米ドルを投資してきた。年間200万米ドルもの運営コストは高すぎる、と感じる人もいるかもしれないが、これによって優秀なエンジニアを雇い、複数ブラウザでの同期や検索機能の強化が実現できたという面もある。

3: 無償の代替サービスが市場で力を持っている

FirefoxやChromeで、ブックマーク同期機能が搭載されたことは、Xmarksにとって大いにネガティブな影響を与えた。多くの人々がXmarksにユーザ登録してくれたが、FirefoxやChromeの同期機能に乗り換えるユーザが増えてきた。

ビルトイン型の無料の同期機能を搭載した『Firefox 4』がリリースされれば、有償で、別途インストールしなければならないスタンドアローンの拡張機能は、生き残りづらいだろう。とはいえ「複数のブラウザ間で同期できるのは、Xmarksだけ」と、指摘するコメントも多くいただいた。たしかに、この機能は、FirefoxやChromeでは実装しえないものだろう。ただし、Xmarksの現ユーザの75%以上がFirefoxのみの利用である、というのもまた事実である。

Xmarksが目指していた方向性や、これまでのプロセス、そして今回のこの結果については、いろいろな見方があるかと思います。しかし、ユーザとしては、便利だった機能が後2ヶ月ほどで使えなくなってしまうというのが、なにより残念な話ですね。

サービス終了後もXmarksを使い続ける方法としては、独自サーバを利用するという方法がありますので、ぜひご検討ください。

Xmarks is Dead. Long Live Xmarks? [Xmarks Blog]

Arvin Dang(原文/訳:松岡由希子)