『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』(岡本 真著、講談社現代新書)は、かつて「Yahoo!知恵袋」等の企画・設計を担当したという著者による、「ウェブに文章を書く機会のある」人のための入門書。「読まれる文章」の書き方のみならず、HTMLの基礎的な技術にまで言及した、従来になかったタイプの文章読本です。
では、果たして読まれるためにはどうしたらいいのでしょうか? 第2章「ウェブでの<読まれる><伝わる>文章」に焦点を当ててみましょう。1.
「目にとまる」から「読まれる」まで(38ページより)
<伝わる>という目標の前には、次の3つの段階があるそうです。
- 目にとまること
- 選んでもらうこと
- 読んでもらうこと(伝えること)
そして「目にとまる」ようにするためには、「視覚的に読みやすいこと」が大切だと著者は言います。難しい感じばかりの文章にしないこと、見慣れない表現や表記を用いないことなどが第一歩だというわけです。
2.惹きとなる見出しの大切さーーYahoo!トピックスに学ぶ(43ページより)
そして、文章を選んで読むうえでの最初の入り口となる見出しの存在が重要。この項では、Yahoo! JAPANのトップページに出ている見出しのつけ方が紹介されています。
- リンク先のニュースに関心を持ってもらい、
- リンクをクリックしてもらい、
- リンク先のニュースを読んでもらう
ための工夫です。そしてYahoo!トピックスの見出しは、必ず全角で13文字を目安に書かれているのだとか。「目につきやすさ」を意識した策ですが、そうなると当然、いかに要約するかが重要な鍵になります。そんな観点から見た場合、要約の仕方は以下のようになるそうです。
- 読者に記事が伝えようとする基本的な事実の部分
- 謎として残り、読者の興味・関心をかきたてる部分
たしかにこうした二重構造にすれば、「読みやすく」「伝わりやすい」ですね。
3.ウェブならではの4W1Hとは(50ページより)
文章を書くうえでの大切な要素に4W1Hがあります。
- 「いつ」(When)
- 「どこで」(Where)
- 「だれが」(Who)
- 「なにを」(What)
- 「どのように」(How)
がそれです(どちらかといえば「 When(いつ)」「 Where(どこで)」「Who(だれが)」「 What(なにを)」「 Why(なぜ)」「How(どのように)」からなる「5W1H」の方が一般的かと思いますが、ここでは著者の考え方に沿います)。
そしてウェブの文章では、特に「いつ」(When)と「どこで」(Where)が重要であるというのが著者の主張。理由は、サイトの機能追加のお知らせやイベントの開催情報など、それが「いつ」「どこで」あるかを記載する機会が多いから。さらに文体については、次の4点が重要だそうです。
- 主節的な部分は前に、従属的な部分は後にする
- 意志や用件は明示する
- 過剰な敬語は使わない
- キーワードを意識して書く
これだけでも、著者がいかに「見られる」ことの重要性を念頭に置いているかがわかるはずです。ウェブでの文章では、「順序」と「誘導」が大切だというわけです。
一冊の文章読本として捉えると、ややもの足りなさを感じさせもしますが、それでも役に立つ部分は多いはず。ウェブでの文章表現に悩まされている人は、ここからなんらかのヒントを見つけ出せるかもしれません。
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(印南敦史)