ある広告営業マンにアドバイスされた話。

彼はiPhone 5sが発売になった際、ふらりと訪れた家電量販店で、予約がなくても買えるチャンスに出合いました。交際している彼女も欲しがっていたので、その場で2台分を購入。ただ、カラーリングだけは選択肢がなく、妥協して2台ともシルバーグレイにしました。

さて、時は流れ、彼はひとつの決意をします。彼女と結婚しよう。もともと、長年付き合っていてもなお、おそろいの壁紙を使うくらいの間柄でしたから、彼がそう思うのも自然なことだったといえます。

持ち前の営業スキルとさわやかスマイルを携え、彼は仕事の合間を見て、宝石店へ通うようになりました。なかなか納得のいく指輪がないものの、通う内に店員とも親しくなり、「ステキなものが出たら一番ご連絡しますね!」と、言ってもらえるようになりました。

そして、悲劇は起きたのです。

「ティファニーっていうキャバクラだよ!」

プロポーズというのは往々にして、サプライズが伴うものです。彼はプロポーズする日を決め、サプライズを成し遂げる準備を進めていました。

ある休日の午後。彼は家事をし、彼女はベッドで本を読んでいました。そこに、1本の電話が入ります。ベッドサイドには、まったく同じカラーで、まったく同じ壁紙のiPhoneが2台並んでいます。

彼が家事を片付けベッドルームに入ると、声をかけられました。

「さっき出た電話、ごめん、あなたのiPhoneだった」

「あ、そうなんだ。どこからだったの」

「ねぇねぇ、ティファニー銀座本店って、なに?

持ち前の営業トークもとっさに出ず、彼は「てぃ、ティファニーっていうキャバクラだよ!」とウソをつくも、そんなキャバクラがあれば間違いなく訴訟モノですから、当然すぐに見破られました。それ以降、彼女に「いつかなー、いつかなー」とつつかれる日々だといいます。これではサプライズをしようにも、肝心な指輪のところが格好つかない。あぁ、あのとき、同じiPhoneさえ選んでいなければ...。

避けようがないスマホの「デメリット」なのかも

スマートフォンだと、着信があった際に番号や連絡先が表示されてしまいます。便利な半面、こういった場面では避けようがありません。やはり「連絡先を偽装しておく」という古典的な方法が、まず有効といえそうです。

ただ、着信に出られなかった際に、ロック画面に不在着信を表示させないことはできます。iPhoneなら「設定」>「電話」>「通知のスタイル」を「なし」+「ロック画面に表示」を「オフ」にすればOKです(少々、使い勝手が悪くなるのが難ですが)。

同じ機種を使ってしまうことがあっても、壁紙を変える、ケースをつけるなど、少しは差をつけておきましょう。彼のように、一世一代の勝負に関わるくらい、何があるかわからないのですから。

お幸せに!

さて、ちなみに、サプライズが決まらない彼のために、この記事は私からのちょっとしたサプライズです。彼は今日、この記事が出る頃にはプロポーズをするつもりなのだとか。彼女さんはライフハッカーをよく読んでくださっているそうなので、驚いてくれたらいいなと思います。彼の健闘を祈りつつ。

(長谷川賢人)