僕がGunosyを続ける理由」「ユーザー数90倍の『Gunosy』、事業が勢いづいた最大のきっかけは?【Startups 2014】」など、ライフハッカーでも関連記事を掲載してきたキュレーションサービス「Gunosy(グノシー)」。ユーザーのTwitterやFacebookを解析し、興味を持ちそうな情報を推測して、1日2回、朝刊・夕刊で25個の記事を届けてくれます。読めば読むほど、ユーザーの指向性を学習していくニュースアプリです。2011年10月のリリース以来、爆発的にユーザー数を伸ばし、180万人を突破。そんなグノシーがさる2月28日、大幅なアップデートを行いました。

そこで今回、学生時代にグノシーを開発し起業した、株式会社Gunosy代表取締役の福島良典氏についてお話をうかがいました。2014年、熱い視線を集める情報キュレーションサービス。そのシーンは、グノシーが牽引していきそうです。

自分好みの記事だけでなく幅広く社会一般のニュースも読めるアプリ

140131_gunosy_interview_Icon.jpg

−− まず、アプリアイコンが「G」のマークから新聞を折ったような紙ヒコーキに変わりましたね。アルファベット表示だった名称も「グノシー」とカタカナになりましたが、その意図は?

福島氏あなただけに発行される新聞を届ける、というグノシーのイメージをよりわかりやすく表現しました。

グノシー 画面

−− そして、何より驚いたのは、トップに横並びでカテゴリが加わったことでした。トピック、朝刊・夕刊、エンタメ、スポーツ、コラム、社会、経済、政治、国際、テクノロジー、グルメ...。この大きな変更を行った理由は?

福島氏:ネット上の情報をフィルタリングしてユーザーに届けるという機能に加えて、一般的なニュースも読めるという網羅感を打ち出したかったからです。

−− 具体的には開発チームでどんな議論がなされたのでしょう?

福島氏:今までのグノシーの『自分の興味がある25 個の記事』をどこまで変えるのかを一番議論しました。ニュースを読む際、グノシー以外のニュースアプリを併用されている方が多かったので、『いくつものアプリを行き来せずに、グノシー1つで済んでしまう』、そんな状況を作り出せればと考えました。たとえば、たくさんの記事を読みたくなかったらトピックだけを、深堀したければ、それぞれのカテゴリを見てもらえればと。

140307gunosy_ch.jpg

気持ちよい情報を届けることに加えて、気持ちよく使えるように

−− デザインに関して考慮されたのはどの部分でしょう?

福島氏:改行や行間、画像表示も徹底検証しました。やはり文字が多いと読むのに疲れるので文字数を減らしたり、行間を調節したり、タブの大きさも何度も変えて、今のサイズになりました。自分にとって気持ちいいと感じられる情報が集まるだけじゃなくて、気持ちよく使える、という点をより深めたつもりです。

特にこだわったのは、画像の見やすさ、美しさです。一覧で表示される場合の画像のトリミングは、画像認識の技術が使われ、人物もきれいに表示されるようになっています。ベースとなる技術は、大量の情報を解析するという僕らの専門領域です。それをテキストだけでなく画像の面でもより推し進めています。きれいな画像、心地よいと感じる画像を数値化する研究をし、人がなんとなく感覚で選んでいた情報、きれいだと感じていた画像を数値化して抽出していくというものをおこなっており、組み込んでいく予定です。スワイプの判定や、記事をめくるスピードがタブの変わるスピードと同じくらいになる点についても工夫しました。

−− それぞれのカテゴリの記事一覧は縦スクロールでずらっと並んでいますが、唯一、TVのカテゴリだけが横二分割になっていますね。

福島氏:TV欄はタイトルだけだったんですが、それだけだとTVって中身がわからないんです。出演者を確認して視聴を決めたりするので、一覧性も入れつつ、ディスクリプション(説明)も読めるようにしています。

グノシー 画面

−− ところで、グノシーだけでなく、ニュースアプリ全般を見渡しても、横フリックでのタブ切り替えが、ひとつのメジャースタンダードになったようにも思えます。その点については?

福島氏:縦スクロールにするとどうしてもページが長くなってしまいますが、そこに横のスクロールが入ると、自分で情報を選んでいる感じが出るんですね。それで最終的にこの形に落ち着いたんですが、他のサービスをマネをするのがしゃくだからやらないというのはユーザーに対する背徳かなと思っています。自分たちがこだわりを持っていて、いいものがあるなら当然それに合わせるべき。プライドよりもユーザーが使いやすい感覚が一番、という結論に達しました。

話題性と信頼性の両面で情報のフィルタリングとマッチングを進める

−− グノシーが今回のアップデートで提案しているのは、自分好みの記事と、知っておいた方がいい社会一般のニュースのハイブリッドだと思うのですが、その裏にはどんなテーマや問題意識があったのでしょうか?

福島氏知るべき情報の再定義というテーマがありました。目指しているのは話題性と信頼性の両立というキュレーションの指標を作ることです。グノシーはツイート数やいいね!数だけではなく、信頼できる言及数を抽出し、それを記事配信に反映させています。

ネットの中で話題になる記事には、どうしてもソーシャルグラフとしてネタっぽいものや炎上的なものも多くなります。そこで、スパムフィルタリングに近いんですが、ニュース記事を選ぶための独自のランクを設けています。ニュースソースは決め打ちもあれば、TwitterやFacebookをクロール(情報取得)して拾ってもいるのですが、単純な言及数ではなく、信頼できる言及数を集めています。話題にもなっていて、かつ信頼性のある記事を集めるということを目指しています。

−− 情報の「信頼性」というのはこれからのキュレーションのキーワードになっていきそうですね。好きな情報だけを集めていると、一方的な見地に偏った情報しか見なくなるというフィルターバブルに陥ってしまう危険性がありますし。

福島氏:情報のパーソナライズというのは、一面だけをみればフィルターバブルのように見えるんですが、違う技術を組み合わせて、情報を網羅することができます。ネット上にあるすべての記事を見るのは現実的に無理なので、何らかしらのフィルターは必要になります。今回打ち出したのは、フィルターが自分の興味によりすぎている状態を変えて、少しゆるい、社会全般のフィルターをかけるということですね。

−− ぴったり自分好みの記事を読むことはもちろん楽しいことですが、自分の興味の範疇を超えた偶然から面白い記事を読むといううれしい出会いも得難いですね。

福島氏:たとえば、先日『グルメ』のメニューで、安倍首相のニュースが出ていたんです。「なんでだろうな?」って思っていたら、首相が食べた食事の記事が上がっていたんです。そういう偶然性の面白みもあります。グノシーはクリックからユーザーの志向を学習していくんですが、みんながまじめな記事だけを読むかというとそうでなくて、コラムとかスポーツの記事も読むでしょうし、その間をうまくつないでいこうと考えています。

140307gunosy_interview_cap.jpg

情報提供メディアとのエコシステムの確立

−− 提携するメディアからの配信記事も豊富にありますが、メディアとの連携についてはいかがお考えですか?

福島氏:情報配信する側がフリーライドしちゃいけないということはよく話しています。ニュースを供給するメディア側には、トラフィックの増加だけではないメリットを今後は提示して、還元できるエコシステムを確立したいですね。

あらゆるコンテンツが個人間取引される時代に情報供給の最適化を目指す

グノシー福島氏

−− では最後に、ニュースアプリが今後どんなふうに変わっていくのか? キュレーションサービスの未来について少しお話いただけますか?

福島氏:すべてのネット上のコンテンツ、情報が仲介業者や既存の行程を省き、プロアマの区別なく、個人間取引されるようになってきました。そういった時代の中でグノシーとしては、情報供給の最適化に取り組んでいきたいと考えています。面白いことを書く個人が一般ニュースよりも上にきてもいいですし、そういう記事も発見してユーザーに届けていく。そこに含まれるのはテキストだけではなく画像も動画も入っています。すべてのコンテンツに対して、曖昧なものを数値化し、マッチングとフィルタリングを追求して、よりよい情報を、欲しい人にきちんと届けるということをやっていきたいですね。そのために、グノシーはこれからも進化し続けます。今回、デザインが大きく変わったので最初は驚かれるかもしれませんが、1、2日使ってもらえればすぐに慣れると思います。これからも常に時代の半歩先を行って、ユーザーを驚かせたいですね。

グノシーは2014年中に1千万ユーザーの突破を目指しているそうです。あなたのスマホライフを変える可能性に満ちた、進化を続けるニュースアプリ、グノシー。まだダウンロードしていない方はこのタイミングで試してみてください。今まで使っていた方はぜひアップデートを!

Gunosy(グノシー) / iTunes App Store / Google play

(ライフハッカー[日本版]編集部)