「させていただきます」をビジネスメールで多用していませんか?
一見丁寧に思えるこの表現ですが、実は過剰な敬語であり相手にまわりくどい印象を与えかねません。
そこで、「させていただきます」の乱用がなぜ誤りなのかを解説しつつ、適切な言い換え表現や具体的なメール例も解説していきます。
すぐに実践できるようにポイントを整理したので、敬語表現を見直す参考にしてくださいね!
「させていただきます」の乱用とは?
「させていただきます」は本来、謙譲語の1種で丁重な表現ですが、最近ではあらゆる動詞に付けて乱用されるケースが増えています。
たとえば「ご報告させていただきます」「お送りさせていただきます」など、何にでも「させていただきます」を付ければ丁寧という風潮があるんです。
しかし、このような使い方は一見丁寧でも実際には過剰な敬語表現で、かえってまわりくどい印象を与えてしまいます。
敬語は丁寧さと分かりやすさのバランスが大切であり、長々とした表現は相手に負担をかける恐れがあります。
なぜ「させていただきます」は誤用が多いのか?
「させていただく」という表現は、本来は相手の許可や好意を得て行為をする場合に使う謙譲語です。
言い換えれば「させてもらう」の丁寧な表現であり、自分の行為について相手から許可を得ていて、なおかつその行為によって恩恵(利益)を受けている場合に限り使用するのが正しいとされています。
たとえば、会場の管理者から使用許可を得ている場合の「会場を使用させていただきます」は適切な使い方と言えるでしょう。
一方で、自分主体の行為(自分が主体的に行うだけで相手の許可を要しない行為)に「させていただきます」を使うのは誤用です。
文化庁の『敬語の指針』(PDF P.40〜)でも、条件を満たさずに乱用される「させていただく」は誤解や不快感を与える恐れがあると指摘されています。
「ご報告」「送付(お送り)」「説明」などは、本来こちらが一方的に行う行為であり相手の許可を得るものではありhttps://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf
ません。
そのため「ご報告させていただきます」は、正しくは「ご報告いたします」となります。
同様に「お送りさせていただきます」も、メールや資料を送るのにいちいち許可を取っていないなら不自然で、過剰にへりくだった表現といえます。
また、「頂戴させていただきます」のように謙譲語を重ねてしまう例もあります。
この表現は「頂戴する」(もらうの謙譲語)と「させていただく」を重ねた二重敬語であり、文法的には誤りです。
目上の人に時間をもらう場面で「○○様のお時間を頂戴させていただきます」と言うのは不自然で、正しくは「お時間を頂戴いたします」や「お時間を頂戴できますか」といった表現にするべきと言えるでしょう。
「させていただきます」は使う場面を選ぶ表現であり、むやみに付ければ良いというものではないことがわかりますね。
「させていただきます」の適切な言い換え表現
誤った場面で「させていただきます」を使っている場合は、シンプルな敬語表現に言い換えるのが得策です。
基本は動詞を丁重語(「いたします」など)にするか、謙譲語の「お(ご)~します」を使えば十分丁寧になります。
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いずれも「させていただきます」を取り除いて単純な謙譲表現に直したもの。
「ご報告いたします」「ご案内いたします」も十分丁寧な表現です。こうした言い換えによって、敬意は保ちつつも無駄のない簡潔な言い回しになりますよ!