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中山 福太朗 Fukutaro Nakayama

中山 福太朗Fukutaro Nakayama

  • 京都市 | KYOTO
  • 裏千家 l URASENKE

1986年生まれ。聖徳庵Jack Convery 宗好氏に師事し、裏千家茶道を学ぶ。現在は建仁寺の塔頭寺院「両足院」茶頭を務める傍ら、雑誌や企業、寺院、ギャラリーなどからオファーを受け、さまざまな趣向の茶会やイベントを開催。先人が積み重ねてきた茶の湯の美しさを学び、現代における茶の在り方を模索し、表現することを続けている。

五感で享受する〝美しき〟茶の世界 

あるときは、鴨川の河川敷に茣蓙を敷いてお茶を点て、またあるときは大都会・大阪の煌びやかな高層ビルを背景に茶空間を設える。茶人である中山福太朗さんは、「茶室の中だとできないこともある」と、茶室に留まることなく、さまざまな場所に出かけ、その空間に合う趣向で多彩な茶会を繰り広げる。 

私の茶の湯は、流儀で学んだ茶道の智慧や技術をもとに、その時々の条件に合わせて空間をしつらえ、茶を点てるというものです。場合によっては、茶ですらないこともあります。稽古の際には、何が流儀の教えで、何が私の茶の湯なのかを明確に分けて伝えます。そうしないと何が本筋かが分からなくなり危険だからです」

中山福太朗さんの茶室にて。お稽古も行っている。
中山福太朗さん

茶道へのハードルを下げるのではなく、それを越えてでも参加したいと思えるような、美しさや面白さを提示する。

「伝統文化に身を置いた以上、その文化をこれから先に伝えることは、望むかどうかに関わらず、持つ使命だと思います。その方法として、後ろを振り返り、来る人の手を丁寧に引く方法と、楽しそうにプレイすることで自分もやりたい!と思わせる方法、大きくふたつがあるんじゃないでしょうか。私の茶の湯における役割は、主に後者だと思っています」

中山福太朗さん

Someone waiting for your tea!

茶道との出合いは大学時代。高校で弓道部だった中山さんは「日本的な体の動かし方に興味があって」と茶道研究部に入部。お茶のことなどまったく知らなかった。入部以来お稽古をしまくった。稽古のたびに3回も4回もお点前をする日々を半年も続けていると「さすがに飽きた(笑)」。

茶道ってこんなもんか、と思い少しやる気が落ち込んだが、部室にある茶道の本でも読んでみようかと、読みやすそうなものに手を伸ばした。森下典子さんの『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』という本。読み進めて驚いた。

「思っていたのと全然違う。こんな世界だったのか!」

弓道と同じように、ひたすら体の稽古=点前を続けることが正解だと思っていた。しかし茶の稽古とは、そういうものではないのだということが分かった。

先人が積み重ねてきた知識や要素の上にこそ広がる、深く果てしない茶の在り方を知り、そこから茶道に「ドーンとのめり込むことに」。さらに大学卒業後は縁あって、カナダ出身で京都在住の裏千家の師匠と出会い稽古に通うことに。「彼はチベット仏教の修行者でもあり、稽古中はほぼ、仏教の話をしていました。これも本当にびっくりした。この文化にはさらに奥がある、と心を鷲掴みにされました」

以来、仕事以外のほとんどの時間をお茶に費やすことになる。そして、ある日のこと。いつものようにお稽古をしていたとき、師匠がふと言った。

Someone waiting for your tea!(誰かがあなたのお茶を待っている)

「そこでキャンプ道具屋さんに行ってガスバーナーを買い、三条大橋西側、みそそぎ川の欄干に座り、ドキドキしながらお湯を沸かしてお茶を点てたんです。そうしたら通りがかりのいろんな人が声をかけてくれて。大学生のカップルや家族連れ、海外の方など、普通の茶会ではお茶を差し上げたことがないような方たちが、私のお茶を飲んでめちゃくちゃ嬉しそうにしてくれた。ああ、これってなんか、いいなって。お茶を点てることって、こんなに幸せなことなんだと改めて思ったんです。この経験が私の背中を押した。これは素晴らしいものだなと確信させてくれました」

中山福太朗さん

京都・両足院のコンテンポラリーな茶会

そんな中山さんは今、京都の名刹・建仁寺の塔頭寺院である両足院において、茶頭(茶事を司る人)を務める。

本堂から見た庭園。手入れが行き届き美しい。通常は非公開。
本堂から見た庭園
池の脇に佇む茶室「臨池亭」。
臨池亭

両足院ではアートを中心としたさまざまな展覧会を開催。それに合わせた茶会の企画・運営が中山さんの務めでもある。その趣向は多種多様。たとえば、展示作品に合わせ、菓子にカロリーメイトを提供したり、シャンパーニュを振る舞う席を設けることも。型破りで面白く見えるが、「新しいことをしようとしているわけではなく、すべて理由がある。伝統を積み重ねたその上にあるコンテンポラリーであることを大事にしながら茶会を組み立てます」

その日、行われていたのはデンマークの家具デザイナーであるポール・ケアホルム展(フリッツ・ハンセン主催)。「デンマークは珈琲大国だそうで、今回の茶会では抹茶だけでなく、珈琲もお出しします」とのこと。茶室にはケアホルムのサイドテーブルが置かれ、ミルやフレンチプレスまでもが用意されていた。

「どんな場所、どんな趣向でお茶会をするにしても美しいことが重要です。お茶ってやっぱり美しい。点前の流れや道具の選び方、物の配置に至るまですべてに意味があり、それらが一つの空間を成して人の心に触れる。視覚だけでなく、味覚や聴覚、触覚、嗅覚といった五感すべてで感じられる、総合的な〝美しさ〟を表現すること、そうしたお茶の場を作っていきたいですね」

フレンチプレスで淹れたコーヒーを、天目茶碗に入れてお出しするという試み!
フレンチプレスで淹れたコーヒーを、天目茶碗に
「展覧会のテーマとお茶の伝統をいかにミックスさせて創り上げるかが難しくも、面白いところ」と中山さんは楽しそうに語る。
中山福太朗さん

客人が呟いた「peaceful ピースフル」

ヨーロッパから旅行で来ていた若い男性が、茶会に参加してくれたときのこと。「その方が茶碗を持ちながら、小さく’Peaceful’と呟いたんです。これを聞いたとき、ああ、Peacefulとはこういうことか、と腑に落ちましたし、この方が自身の言葉で茶の湯の美しさを把握されていることに感動を覚えた。あのときの風景が、今も心に鮮明に残っています」

中山福太朗さん

韓国人陶芸家、全さんの茶碗

中山さんのお気に入りは全日根(チョンイルグン)さんの茶碗。室町~江戸時代に日本に渡来し、茶人に愛されてきた安南(ベトナム)の茶碗を「全さんがご自身の解釈で写したもの。 しかしコピーではなく、元々油絵を志した全さんならではの絵付けが独特です。日本、韓国、中国、ベトナムのアジアの国々の交わりが、一碗に集約しているのが面白い」

全日根(チョンイルグン)さんの茶碗
奥にあるのが安南の茶碗。こちらもまた美しい。
奥にあるのが安南の茶碗
中山 福太朗Fukutaro Nakayama

稽古場:京都府京都市

@Ryosokuin
@xexe.meditation

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