現在、日本放送協会(NHK)では、2016年からの4K・8K試験放送、2018年からの4K・8K実用放送の開始に向け、さまざまな研究開発を進めている。それらの成果は、5月26日~29日に開催される展示会「技研公開2016」でも披露される予定だ。 4K・8K放送は、衛星放送だけでなく、ケーブルテレビなどを使った再配信も計画されている。8K衛星放送で用いるMMT(MPEG Media Transport)方式の信号は、IPパケット技術をベースとしているため、信号形式を変換せず、そのままインターネットで伝送できる。 今回NHKは、10Gbps級の伝送速度を持つ次世代光インターネット回線で、8K信号を多チャンネル伝送する実験を、KDDIと共同で実施。世界で初めて成功したことを、「技研公開2016」に先駆けて発表した。 両社は、MMT方式の信号を、インターネット経由で多チャンネル伝送するための送信装置と受信機を開発。実験では、10チャンネルの8K信号を伝送し、安定して受信できることが確認された。この受信機は、ケーブルテレビだけでなく、8K衛星放送の受信機としても共用化可能とのこと。 また、NHKはすでに、現行のケーブルテレビ施設をそのまま利用して、4K・8K放送を伝送する、複数搬送波伝送方式を開発済み。今後は、KDDI、ジュピターテレコム(J:COM)、日本デジタル配信(JDS)とともに、 この伝送方式の信号を復調する小型の評価用受信装置を試作し、評価実験を進める計画だ。