「吉きことを吉きと思へる初鏡」

 冬場に多い脳卒中について、昨年末の鏡公民館(唐津市)での脳卒中教室の内容にそってお話します。

 脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりして起こる脳の病気です。中でも脳梗塞は、脳の血管に血の塊が詰まることで脳がダメージを受けます。tPA(ティーピーエー)は血の塊を溶かすことで、脳の働きを回復させる薬です。現在はこれに加え、カテーテルにより血の塊を回収する血栓回収術も行うことでさらに回復が期待されます。

 脳卒中の治療は、早ければ早いほど効果が期待されますので、脳卒中を疑う次の三つの症状をぜひ覚えてください。【(1)顔のゆがみ(2)片方の手が動かない(3)うまく話せない】

 これらの症状のうち一つでも突然起これば、脳卒中の可能性が70%以上といわれています。脳卒中が疑われるときは、すぐに救急車(119番)を呼びましょう。

 脳卒中後、言語障害や手足のまひなどの後遺症に対して重要なのが、脳卒中回復期リハビリテーションです。機能回復、在宅復帰を目指して、医師、看護師、リハビリの療法士ら多職種でチーム医療に取り組みます。当院へも佐賀市内だけではなく、唐津、伊万里、嬉野、福岡、長崎、熊本など県内外より転院をご紹介いただいています。

 晴れて在宅復帰となってからも、脳卒中後に手足が固くなる後遺症(痙縮=けいしゅく)に対しては、ボツリヌス療法+外来リハなど併用しさらなる機能回復に努めます。

 脳卒中の予防として、高血圧や糖尿病などの生活習慣病管理、禁煙なども重要です。

 脳卒中や認知症予防の啓発のため、オファーがありましたら、今年も県内どこの公民館へでも電子ピアノ持参でお話に伺いますので、いつでもご連絡賜れれば幸いです。佐賀リハビリテーション病院、電話0952(25)0231。

 みなさま、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 (佐賀リハビリテーション病院 医局長 南里悠介)