東京・芝公園で12日に営まれた安倍晋三元首相の葬儀では、第2次安倍政権で副総理兼財務相として安倍氏を支えるなど、盟友関係にあった自民党の麻生太郎副総裁が弔辞を述べた。自民安倍派(清和政策研究会)や参列者らによると、麻生氏はその早すぎる死を悼み、昭恵夫人は安倍氏への感謝の言葉を語った。
「あなたが私の弔辞を読むことになっていたのではないか。こうして弔辞を読むことは、大変つらい」
麻生氏は安倍氏の遺影を前に、こう語りかけたという。
麻生氏は安倍氏と冗談を言いながらゴルフをしたことや、酒席をともにしたことを「楽しい思い出ばかり」と振り返り、「相互に信頼し合って仕事ができたことは、望外の幸せだ」と強調したという。
喪主を務めた昭恵夫人はあいさつで「まだ夢を見ているようだ。主人のおかげでいろいろなことを経験できた。すごく感謝している。いつも私のことを守ってくれた」と語った。
昭恵夫人は、安倍氏がかつて吉田松陰の文章を引用し、父の晋太郎元外相に宛てて「10歳には10歳の春夏秋冬があり、20歳には20歳の春夏秋冬、50歳には50歳の春夏秋冬がある。(晋太郎氏は)首相目前に倒れたが、67歳の春夏秋冬があったと思う」との追悼文をしたためたことを紹介した。こうした経緯を踏まえて「主人も政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、本人なりの春夏秋冬を過ごして、最後、冬を迎えた。種をいっぱいまいているので、それが芽吹くことでしょう」と述べたという。