英海軍、中国人洗濯要員の勤務廃止へ 伝統の慣習 スパイ活動懸念

英国旗(AP=共同)
英国旗(AP=共同)

【ロンドン=黒瀬悦成】英国防省は海軍艦船で民間の中国人を洗濯要員として勤務させる慣習を廃止することを決めた。1930年代以来の伝統とされてきたが、中国当局に脅されるなどして機密を探るためのスパイ活動に従事するのを防ぐためとしている。英大衆紙サンが26日までに報じた。

英情報局保安部(MI5)のマッカラム長官は今月、中国が英国から原子力潜水艦の情報を盗もうとしているほか、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」で進めている新型原潜の開発計画の妨害を図っていると警告しており、関連した動きの可能性がある。

英海軍では、主に香港の請負業者を通じて採用された中国人が艦船に常駐し、乗組員の衣類の洗濯や士官食堂のテーブルクロスのアイロンがけを担当するのが慣例となっていた。

同紙によれば英空母クイーン・エリザベスに派遣予定だった中国人3人が乗艦禁止となったほか、英海軍で39年間働いていた中国人男性1人が解雇された。

解雇された男性は家族が香港に住んでおり、英海軍は中国当局が家族の身の安全を脅迫材料にして男性をスパイに仕立て上げることを恐れたとみられる。

英海軍は中国人の代わりにネパールのグルカ兵を乗り込ませる方針という。

国防省は産経新聞の取材に「私たちは全ての民間請負業者が適切な情報保全をしていることを保証する」と述べるにとどめた。

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