暗転したステージの中央にスポットライトが当たり、南国風の軽快なリズムが響いた。1月15日、福島県いわき市の大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」で初公演を迎えた新しいフラダンスショー。勢いよく飛び出してきたのは、元日に新キャプテンに就任したレヒヴァ由妃さんだ。
縦横無尽にステージを駆け巡る圧巻のソロパートに、客席は静まり返った。終盤、膝を着いた状態で背中を地面に倒す大技・バックベンドを披露すると、約1100人の観客から歓声が湧きあがった。
「いつか絶対にここで踊りたい」
東京都江東区出身のレヒヴァさんは、小学5年生の時に家族で訪れた新宿・高島屋でみたフラガールの笑顔に一目惚れした。東日本大震災から数カ月後、踊る舞台を失ったフラガールたちが全国を巡った「フラガール全国きずなキャラバン」の公演だった。
「いつか絶対にここで踊りたい」と夢を持ち、18歳の時にスパリゾートハワイアンズのダンサーを養成する学校、常磐音楽舞踊学院(いわき市)に入学した。
厳しいレッスンの中で何度も挫折する日々を過ごしたが、「心から踊りを愛して楽しむ」ことで乗り越えたという。
一つに見えつつ、個性が見えるチーム
幼いころの夢をかなえたレヒヴァさんは、「全体を見たときは一つに見え、一人を見たときは個性が見えるチームを作っていきたい」と新たな目標を胸にチームを引っ張る。
「東京出身の人が踊っていることを知っていただき、東京からのお客さまが増えたら嬉しい」とも語った。
未曾有の大地震に被災してなお踊り続けたフラガールたち。東京の地でその姿に魅せられた少女がいま、福島のステージで観客を魅了している。(文・写真 岩崎叶汰)