長野の中3死亡事故で逆転有罪、実刑確定へ 最高裁が無罪の2審判決破棄

平成27年に長野県佐久市で中学3年の男子生徒が死亡した自動車事故で道交法違反(ひき逃げ)罪に問われた池田忠正被告(52)の上告審判決で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は7日、無罪とした2審東京高裁判決を破棄し、逆転有罪を言い渡した。懲役6月の実刑とした1審長野地裁判決が確定する。

事故直後に被告がコンビニに立ち寄った行為がひき逃げにあたるかが主な争点だった。

同小法廷は判決で、事故後に救護義務を尽くしたというためには「ただちに車の運転を停止し、状況に応じた救護措置などを取る必要がある」との判断を示した。

判決によると、被告は27年3月23日、横断歩道で和田樹生(みきお)さん=当時(15)=をはねた。被告は現場周辺を捜索した後、約50メートル先のコンビニで飲酒運転の発覚を防ぐために口臭防止用品を購入し、服用。現場に戻って被害者を発見した。

同小法廷は、被害者に重傷を負わせた可能性のある事故で、被告は救護活動を続ける必要があったのに「無関係な買い物のためにコンビニへ向かった」と指摘。救護義務違反が成立するとし、無罪とした2審を破棄しなければ「著しく正義に反する」と判断した。

2審は、コンビニに立ち寄ったのが1分余りで、その後被害者に人工呼吸をしたことなどから「救護義務を果たす意思はあった」として無罪を言い渡していた。

被告は自動車運転処罰法違反(過失運転致死)罪で執行猶予付き有罪が確定した後、道交法違反の速度超過罪で起訴され、公訴棄却となった。ひき逃げ罪は検察審査会の不起訴不当議決を経て在宅起訴され、3度目の刑事裁判だった。

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