- 会員限定
- 2024/08/01 掲載
マスク氏の宇宙事業「売上9割増」で絶好調、「人類滅亡」に備えるSF的野望への挑戦
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
売上「前期比89%増」で絶好調
そして、売上の半分近くに相当する41億ドル(約6,619億円、前年比121%増)をたたき出したのが、衛星インターネット通信サービスの「スターリンク」だ。5月時点の顧客数は99カ国で300万を突破しており、通信衛星は6219基(6月時点)を打ち上げた。最終的には4万2000基にまで増やし、インターネットにアクセスできない地域を完全に解消する野心的な計画を打ち出している。
スターリンク衛星は、スペースXが自社開発した商業打ち上げロケット「ファルコン9」によって次々と軌道に乗せられている。同ロケットは、同じエンジンを大量生産することでコストを下げたほか、1段目のエンジンを逆噴射して洋上あるいは陸上へ着陸できるため回収・再利用が可能だ。このような経済性が高く評価され、衛星だけでなく宇宙船や補給船の打ち上げにも活用されている。
このように、打ち上げ費用が1回につき約6,000万ドル(約96.8億円)のファルコン9や、その発展型で超大型重量貨物打ち上げに使われる「ファルコンヘビー」(費用は打ち上げ1回で1億2,500万ドル、約201.7億円)など、ロケットの打ち上げを以前より安価にしたことが、「スペースXが選ばれる理由」だ。
米ITニュースサイトのテッククランチが入手した同社の内部文書によると、同年の営業利益はおよそ30億ドル(約4,840億円)に達した。また、米投資サイトのバロンズが6月末に報じたスペースXの時価総額は2,100億ドル(約33.8兆円)に上る。表面的には、同社の業績は順風満帆であると言えよう。 【次ページ】致命的すぎる問題と「ジェフ・ベゾス氏」の台頭
関連コンテンツ
PR
PR
PR