音楽家の坂本龍一さんが、明治神宮外苑地区の再開発の見直しを求める手紙を東京都の小池百合子知事らに送った。がん闘病中の坂本さんは書面での取材に応じ、反対運動に全面的に参加する体力は残っていないとしながら「あの美しい場所を守るために何もしなかったのでは禍根を残すと思った。後悔しないように手紙を出すことにした」と意図を明らかにした。
◆「樹々は万人に恩恵、開発は一部の富裕層だけ」
手紙は3月上旬、小池知事、永岡桂子文科相、都倉俊一文化庁長官、吉住健一新宿区長、武井雅昭港区長の5氏へ郵送した。小池氏への手紙では、外苑の開発はSDGs(持続可能な開発目標)の世界的な流れに反し、「持続可能なものとは言えない」と指摘。東京を自然と共生する都市の「聖地」にしてほしい、と求めた。
本紙の書面インタビューにも応じ、反対理由について外苑の自然環境が破壊されることを懸念。「樹々は差別なく万人に恩恵をもたらすが、開発は一部の既得権者と富裕層だけに恩恵をもたらす」と大量の樹木を伐採して高層ビルなどを建てることに問題提起した。
その上で、都市の中で自然環境を守ることは可能だとして、パリやローマを例に「100年経っても変わらずに歩ける街の姿」を望み、「都市がそれぞれの歴史とともに長い年月をかけて獲得する風景を維持する」ことを求めた。
坂本さんは東京出身で、新宿高校、東京芸大に学んだ。「生まれ育った東京が美しく魅力的な場所であってほしい」とも述べた。
外苑再開発は、三井不動産など民間事業者が中心で、小...
残り 644/1288 文字
今なら最大2カ月無料
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
カテゴリーをフォローする
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。