落語家の林家こん平(71)が22日、都内で行われた「第1回都電落語会」のオープニングセレモニーに出席した。


 こん平は10年前の2004年8月22日に、脳や脊髄などの中枢神経に支障をきたす多発性硬化症を発症。8月22日は「チンチン電車の日」でもあった縁から、こん平が主催となって都電落語会を発足し6年後の東京五輪まで毎月1回、都電荒川線を借り切って三遊亭小遊三(67)や林家一門が落語会を行う。


 車いす姿で登場したこん平は小遊三の「何でも自分でやらなきゃ気が済まない人だったのに、今は『あーはい』って。人間なんでも1回くらいは患うもんですね」と毒の効いたイジリを受け顔をほころばせた。


 こん平は、30~31日に放送される「24時間テレビ」(日本テレビ系)に出演する。10年前、同番組の「笑点」収録中に多発性硬化症を発症。以後、長い闘病生活を強いられてきたが、その24時間テレビで自身の闘病記録も放送される予定で、本人とともに病気も注目を集めるのは間違いない。


 これに期待を寄せるのが、多発性硬化症の患者らを支援する認定NPO法人「MSキャビン」理事長の中田郷子氏だ。


「多発性硬化症は社会的に情報不足で、聞きなれない病気ということで差別されることもあるんです。今回、こん平師匠が24時間テレビに出演することで病気を知っていただき、こうした状況が改善されれば…」


 特定疾患に指定される難病だが、投薬治療によって進行を抑制できる可能性がある。ただし「医療格差が大きく医師によっては患者より知識が不足していることも珍しくない。治療できる医師も医療機関も不足している状況」(同)。


 国内での患者数は約1万7000人と言われ、最近アイス・バケツ・チャレンジで注目を集める筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者数約8500人の倍にも上る。こん平の24時間テレビ出演によって、多発性硬化症にも光が当たればいいが――。