写真:藤井 麻未
地図を見る美しい村の点在するミディピレネー地方だが、村々はたいてい山の中腹や街から離れた場所にある。そこで村々をじっくり見て回るためには、この地方の中心都市トゥールーズを拠点として宿泊しレンタカーや現地ツアー、貸し切りタクシーで回るのが最も効率的だ。
トゥールーズは航空開発の最先端エアバス社があることでも有名であり、大学も多い学術都市。また旧市街にはレンガ色の建物が多く「薔薇色の街」と称される美しい街だ。とりわけガロンヌ川にかかるヌフ橋の姿は印象的で、パリなどとはまた一味違うしっとりとした落ち着きを感じさせてくれる。村巡りの拠点とするにはピッタリの街といえるろう。
写真:藤井 麻未
地図を見るトゥールーズから車で3時間弱。次第に家々や建物が少なくなり、静けさの漂う山間へと入って行く。空気はひんやりと透き通って清々しい。しばらく走ると、まるでひっそりと山間に守られるようにして神秘的な村が姿を現す。「フランスの最も美しい村」に認定されているコンクの村だ。
コンクはフランスからスペインへと続く世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の中継地点として、古来から多くの巡礼者たちを迎えてきた。今でも巡礼途中に立ち寄る村として重要な位置を占めている。村の中へと入って行く前に、まずは少し離れた高台から村の全景を眺めてみて欲しい。その姿は巡礼の村としてその名に恥じない神聖さと静謐さ、美しさに溢れていて、誰もがその秘められた宝石のような佇まいに思わず溜息を漏らすだろう。
写真:藤井 麻未
地図を見るコンクの本当の美しさを味わうなら実は秋以降オフシーズンの方がおススメだ。夏は観光のピークシーズンでもあり少々観光客が多い。秋〜初冬のオフシーズンは土産物屋などは閉まるところも多いけれど、観光客がグッと減ったことで村は落ち着きを取り戻し本来の魅力をじっくりと味うことができるのだ。
コンクの人口はわずか80名程度。静寂に包まれた村はまるで異国の絵本の世界。けれど時々窓の掃除や庭の枯葉集めをする地元民の姿があり、道端で立ち話をする老人たちに出会ったり、忙しい観光シーズンを終えた村人の、どこかホッとしたような姿を見かけることができる。
コンク付近は様々な美食の宝庫だ。世界三大チーズのひとつロックフォールや、郷土料理のモツ煮込みカスレ、じゃがいものペーストとチーズを混ぜたアリゴ、ワインのガイアックなど、頬っぺたが落ちそうな逸品ばかり。コンクの魅力を味わうためにはこういったグルメは外せない。中でも筆頭に上がるのがフォアグラだ。ここのフォアグラは、新鮮で驚くほどにまろやか、そして妙なクセが一切無い。
村のレストランではフォアグラのテリーヌなどを前菜にして、チーズのアリゴをたっぷりつけたチキンの、栗と赤ワインのソース掛けなどをメインにすると最高だ。お供はもちろん土地のワインガイアック。決まってついてくるホカホカ、パリパリのパンにフォアグラのテリーヌをたっぷりつけて頬張ろう。まるでフォアグラがコクのあるバターのように感じるだろう。
さて、フランスの最も美しい村のひとつ、コンクはいかがだっだだろうか。秋〜初冬にかけてはミディピレネー地方の山々も美しく黄葉し、晴れた空に清々しい空気が漂って心地良い季節だ。冬が近づくとピレネー山脈に雪が被るため巡礼者も少なくなり、ぐっと人が減る。オフシーズンでも本格的な冬がやってくる前の時期は、その面でも穴場だと言えよう。美食の宝庫でもあるこの地方は芳醇な秋の味覚が勢揃いし、グルメを堪能するにもピッタリだ。
村本来の魅力を味わいに、ぜひ静寂のコンクへ訪れてみてはいかがだろうか。
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(2025/1/10更新)
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