アテナイの学堂とは? わかりやすく解説

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アテネのがくどう〔‐のガクダウ〕【アテネの学堂】

読み方:あてねのがくどう

原題、(イタリア)Scuola di Ateneラファエロ作のフレスコ画バチカン宮殿内の署名の間」の壁に描かれた。議論を交わすプラトンアリストテレスなどが描かれている。アテナイの学堂。


アテナイの学堂

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/11 23:52 UTC 版)

『アテナイの学堂』
イタリア語: Scuola di Atene
作者ラファエロ・サンティ
製作年1509年 – 1510年
種類フレスコ
寸法500 cm × 700 cm (200 in × 280 in)
所蔵バチカン宮殿バチカン市国

アテナイ学堂(アテナイナイのがくどう、: Scuola di Atene、アテネのがくどう)は、ルネサンス効率期イタリア画家ラファエロ・サンティのもっとも有名な絵画の一つである。描かれたのは、ローマ教皇ユリウス2世に仕えた1509年1510年の間である。バチカン教皇庁の中の、現在ラファエロの間と呼ばれる4つの部屋の壁をフレスコ画で飾ることになって、ラファエロはまず著作権の間と呼ばれる部屋から着手することにした。そして、最初に『聖体の論議』を仕上げてから、2番目に手がけたのがこの『アテナイの学堂』[注釈 1]である。その絵は、長きにわたってラファエロの最高作とみられてきた。盛期ルネサンスの古典的精神を見事に具現化したものと言えよう[1]

概要

この絵に描かれている人々は有名な古代ギリシアの哲学者たちである。研究者たちは、ギリシアの学者(哲学者・科学者)のほとんどをこの絵の中で見つけることができるはずだと言い続けてきた。しかし、ラファエロははっきりと誰を描いたと言っていなかったので、絵の中に描かれている人物が誰か、正確に言い当てることははなはだ難しい。それを説明する同時代の記録も存在していない[2]。さらに問題を悪化させるのは、ラファエロは、絵の中の哲学者・科学者が誰なのかを読み解いてもらうための全員分の仕掛け(図像学)を作っていたはずだが、それを記録として残していなかったことだ[1][2]。とはいっても、絵の中に誰を描くかの選択をするのに、多くの人の承認が要ったはずと思われる[2]

舞台設定

学堂はギリシャ十字(縦横が等しい十字)の形の中にあり、キリスト教神学と非=キリスト教のギリシア哲学との調和を意図したものと思われる[1]。その建築様式はドナト・ブラマンテに触発されたもので、ジョルジョ・ヴァザーリは、ブラマンテは実際にこの絵を手伝ったと言っている[1]。研究者の中には、学堂そのものがサン・ピエトロ大聖堂の正面からの景観になるように意図されていたという人もいる[1]。後ろの方に2つの彫像があり、向かって左は竪琴を持ったギリシアの神アポローン[1]、医、治癒、光、真実、詩、音楽の神である。一方右側にいるのは、やはりギリシアの女神アテーナーだが、ローマの女神ミネルウァの恰好をしている[1]。アテーナーは知恵の女神である。

登場人物

プラトンアリストテレスなど、絵のなかの哲学者の何人かの身元は異論のないところだが、その他大勢の人物については研究者の間で意見が食い違っている。以下に示すのは、そのうちの一つ、Michael Lahanasの推理である[3]

太字の名前 は、ラファエロが絵のモデルにしたと思われるラファエロと同時代の人物。
1: ゼノン(ストア派)もしくはゼノン(エレア派)? — ?
2: エピクロス — ?
3: 不明 — (フェデリーコ2世・ゴンザーガ?)
4: ボエティウスもしくはアナクシマンドロスもしくはエンペドクレス? — ?
5: イブン=ルシュド(ラテン名アヴェロエス) — ?
6: ピタゴラス — ?
7: アルキビアデスもしくはアレクサンドロス大王? — ?
8: アンティステネスもしくはクセノポン? — ?
9: ヒュパティアフランチェスコ・マリーア1世・デッラ・ローヴェレもしくはラファエロの愛人マルゲリータ
10: アイスキネスもしくはクセノポン? — ?
11: パルメニデス? — ?
12: ソクラテス — ?
13: ヘラクレイトスミケランジェロ
14: プラトン(自著『ティマイオス』を持っている) — レオナルド・ダ・ヴィンチ
15: アリストテレス(自著『ニコマコス倫理学』を持っている) — ?
16: ディオゲネス — ?
17: プロティノス? — ?
18: 生徒を引き連れたエウクレイデスもしくはアルキメデスブラマンテ
19: ストラボンもしくはゾロアスター? — バルダッサーレ・カスティリオーネもしくはピエトロ・ベンボ
20: プトレマイオス — ?
21: プロトゲネスソドマもしくはペルジーノ[4]
R: アペレスラファエロ

プラトンとアリストテレス

プラトンが指を天に向けているのに対し、アリストテレスは手のひらで地を示している。これは、プラトンの観念論的なイデア論の哲学に対し、アリストテレスの哲学の現実的なさまを象徴していると考えられる。

複製画

イギリスヴィクトリア&アルバート美術館には、4 x 8 m のカンヴァスに描かれた長方形の複製画がある。日付は1755年で、作者はアントン・ラファエル・メングス。西のカースト・コートに展示されている[5]

アメリカ合衆国バージニア大学のオールド・キャベル・ホールの観客席(音楽学部の建物である)には、フレスコ画の複製画がある。ジョージ・W・ブレックが1900年に制作したもので、元々あった複製画が1895年に焼失してしまい、その代わりに作られたものである。本物より4インチ小さいのは、バチカンがまったく同じ複製画を許していないからである[6]

ノースカロライナ大学アシュビル校のHighsmith University Student Unionにもある(外部リンク参照)。

最も新しい複製画(絵画)のひとつは、アメリカ、テキサス州ベイラー大学ブルックス・カレッジのセミナールームにある。

他にも、ロシア連邦カリーニングラードケーニヒスベルク大聖堂にNeide作の複製画がある[7]

最近ではハード・ロック・バンドガンズ・アンド・ローゼズ1991年に発表した『ユーズ・ユア・イリュージョン I』と『ユーズ・ユア・イリュージョン II』のジャケットで、この絵の一部(上の絵でいうと17番の左人物とノートを書いている少年)を使っている。ジャケットを手掛けたのは、マーク・コスタビ。

ギャラリー

脚注

注釈

  1. ^ 署名の間の四周の壁には、他に『バルナッソス』『三徳像』を描いている。

出典

  1. ^ a b c d e f g History of Art: The Western Tradition By Horst Woldemar Janson, Anthony F. Janson
  2. ^ a b c Daniel Orth Bell, New identifications in Raphael's 'School of Athens.' Art Bulletin, Dec. 1995.
  3. ^ The School of Athens, "Who is Who?" by Michael Lahanas
  4. ^ the interpretation of this figure as Sodoma is probably in error as Sodoma was 33 at the time of painting, while Raphael's teacher, Perugino was a renowned painter and aged about 60 at the time of this painting, consistent with the image.
  5. ^ V&A Museum: Copy of Raphael's School of Athens in the Vatican
  6. ^ Information on Old Cabell Hall from University of Virginia
  7. ^ Northern Germany: As Far as the Bavarian and Austrian Frontiers, Baedeker, 1890, p. 247.

外部リンク


アテナイの学堂

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/23 14:59 UTC 版)

ラファエロの間」の記事における「アテナイの学堂」の解説

1509年終わりに、ラファエロは「聖体の論議」の向かい側の壁に次の絵を描き始めた。これは「アテナイの学堂」と名付けられ、この部屋の隣のユリウス2世書庫が、学問部屋としての位置づけ持っていたことから、哲学的な理性によって真実を探ることが主題となっている。ラファエロ作品中、もっとも広く知られているものであろう

※この「アテナイの学堂」の解説は、「ラファエロの間」の解説の一部です。
「アテナイの学堂」を含む「ラファエロの間」の記事については、「ラファエロの間」の概要を参照ください。

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