リツキシマブとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 医薬品 > > 医薬品 > リツキシマブの意味・解説 

リツキシマブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 22:13 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
リツキシマブ?
モノクローナル抗体
種類 全長抗体
原料 キメラ (マウス/ヒト)
抗原 CD20英語版
臨床データ
販売名 リツキサン, Rituxan
Drugs.com monograph
胎児危険度分類
  • US: C
  • (no adequate human studies)
法的規制
投与方法 静脈内投与 (点滴)
薬物動態データ
生物学的利用能100% (静脈内投与)
半減期30 ~ 400 時間 (投与量・治療計画によって異なる)
排泄不詳
識別
CAS番号
174722-31-7 
ATCコード L01XC02 (WHO)
DrugBank DB00073 
UNII 4F4X42SYQ6 
KEGG D02994  
ChEMBL CHEMBL1201576 
化学的データ
化学式C6416H9874N1688O1987S44
分子量143859.7 g/mol
テンプレートを表示

リツキシマブ(Rituximab)は、抗ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体からなるモノクローナル抗体であり、その製剤は分子標的治療薬のひとつとして抗がん剤免疫抑制剤などとして使用されている。製剤としてのリツキシマブが注射剤であり、日本はリツキサン (Rituxan) の商品名で全薬工業[1]および中外製薬から発売されている。バイオシミラー後発品も日本では販売されている。(ファイザーサンドより製造販売)

リツキシマブは2011年には金額ベースにおいて世界でベストセラーの抗がん剤となっている。この背景には各国での治療適応疾患の拡大のほか、薬剤価格が高価であることがあり、日本でも1瓶(500mg/50mL)あたりの薬価(保険適用前)が約21万円(2008年薬価改正時点)に設定されている。2015年の全世界売上高は全医薬品で5位、抗がん剤では1位であった。2017年は売上高8位、抗がん剤としては依然1位であった[2]

概要

ヒトCD20はヒトリンパ球B細胞のみに発現し、正常・腫瘍細胞は問わず、preB~成熟B細胞にかけて細胞膜表面に認められる。preB、形質細胞にはCD20はみられない。ヒトCD20に対する抗体はヒトは持たないため、マウスのヒトCD20に対する抗体の可変領域Fabとヒト定常領域Fcをキメラとして、1991年米国のIDEC Pharmaceuticals社(現Biogen社)がリツキシマブを創製した[3]日本での健康保険適応は、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患、多発血管炎性肉芽腫症顕微鏡的多発血管炎。非ホジキンリンパ腫、リンパ増殖性疾患の治療では単独での使用も行われるが、CHOP療法との併用も行われている。

リツキシマブはANCA関連血管炎に対する治療薬のひとつで、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症でも効果がみられている。[4]ANCA関連血管炎に対する寛解維持療法でリツキシマブ群はアザチオプリン群に比べ有意に寛解維持できていた[5]

また、臓器移植の際の拒絶反応治療や、腎炎などこれまで治療が困難であった一部の自己免疫疾患への効果も期待されており、関節リウマチ全身性エリテマトーデス(SLE)[6]については各国で治験が進んでいる。また日本では2008年より小児難治性ネフローゼ症候群特発性血小板減少性紫斑病での治験が行われている。2014年、小児難治性ネフローゼ症候群にリツキシマブが効果を示すことが報告された[7]

悪性リンパ腫に対しては、同効薬に90Y Ibritumomab, 131I Tositumomabなどがある。

適応

副作用

B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の投与での免疫抑制によるウイルス活性化で劇症肝炎または肝炎増悪を生じることがある。

関連事項

出典

  1. ^ リツキサン 全薬工業株式会社 2021年4月15日閲覧。
  2. ^ 2017年 世界で最も売れた薬は「ヒュミラ」 「オプジーボ」もトップ20入り AnswersNews 2021年4月15日閲覧。
  3. ^ 「開発の経緯-医薬品インタビューフォーム リツキサン注10mg/mL」全薬工業、中外製薬、2008年8月改訂(第10版)
  4. ^ Thiel J, et al. Rituximab in the treatment of refractory or relapsing eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (Churg-Strauss syndrome). Arthritis Research & Therapy 2013, 15:R133 doi:10.1186/ar4313
  5. ^ Guillevin L, et al. rituximab versus azathioprine for maintenance in ANCA-associated vaculitis. N Engl J Med. 2014:371;1771-1780.
  6. ^ 「全身性エリテマトーデス リンパ腫の治療薬が効果」熊本日日新聞2004年5月12日夕刊
  7. ^ Iizima K., et al. Rituximab for childhood-onset, complicated, frequently relapsing nephrotic syndrome or steroid-dependent nephrotic syndrome: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled trial. The Lancet, Early Online Publication, 23 June 2014. doi:10.1016/S0140-6736(14)60541-9
  8. ^ https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210927170000_1141.html
  9. ^ https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20211224170000_1181.html
  10. ^ https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20220620170000_1226.html

リツキシマブ(Rituximab リツキサン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 01:33 UTC 版)

分子標的治療」の記事における「リツキシマブ(Rituximab リツキサン)」の解説

抗CD20抗体であり、B細胞非ホジキンリンパ腫B細胞慢性リンパ性白血病B細胞前リンパ球性白血病関節リウマチ多発血管炎性肉芽腫症などの自己免疫疾患治療ABO血液型不適合腎移植肝移植に対して使用される

※この「リツキシマブ(Rituximab リツキサン)」の解説は、「分子標的治療」の解説の一部です。
「リツキシマブ(Rituximab リツキサン)」を含む「分子標的治療」の記事については、「分子標的治療」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「リツキシマブ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



リツキシマブと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「リツキシマブ」の関連用語

リツキシマブのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



リツキシマブのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
中四国エイズセンター中四国エイズセンター
Copyright (C) 2025, Chugoku-Shikoku Regional AIDS Center
がん情報サイトがん情報サイト
Copyright ©2004-2025 Translational Research Informatics Center. All Rights Reserved.
財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリツキシマブ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの分子標的治療 (改訂履歴)、多発性硬化症 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS