レアシルヴィア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/30 00:55 UTC 版)
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![]() ベスタの南半球。半球の窪み全体がレアシルヴィアである。 | |
種類 | クレーター |
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天体 | ベスタ |
場所 | 南半球 |
座標 | 南緯75度 東経301度 / 南緯75度 東経301度[1]座標: 南緯75度 東経301度 / 南緯75度 東経301度[1] |
直径 | 505 km |
発見者 | ハッブル宇宙望遠鏡 |
名の由来 | ローマ神話のレア・シルウィア |
レアシルヴィア (Rheasilvia) は、ベスタの表面で最も大きな構造であり、衝突クレーターであると信じられている。
概要
直径は505kmで、ベスタ自体の直径の90%を占め[2]、太陽系の天体の最も大きなクレーターの1つとなっている。南緯75°に位置し、南半球の大部分を覆っている。このクレーターは、部分的に直径395kmの別のクレーターであるベネネイアを覆っている[3]。1997年にハッブル宇宙望遠鏡の画像で発見されたが[4]、命名されたのは、2011年にドーンが到着してからで、神話上のローマ建国者の母レア・シルウィアに因んで名付けられた[1]。
レアシルヴィアは、外周の一部に沿って、周辺より4から12km標高が高い断崖がある。クレーターの床は、周辺より13km程度低い。この盆地の中心は盛り上がっており、直径は約200km、ふもとからの標高は22km[5]と太陽系の中で既知の最も高い山である。ハッブル宇宙望遠鏡の画像の分光学的分析により、このクレーターは地殻のいくつかの異なる地層を貫いていることが示されており、かんらん石のスペクトルの特徴が出ていることから恐らくはマントルまで達している[6]。
ベスタは、レアシルヴィアと同心の赤道領域に一連の谷を持つが、これらは衝突に起因する大規模構造であると信じられている。最大のDivalia Fossaは、幅約22km、長さ約465kmに達する。
この衝突は、ベスタの体積の約1%を掘り起こすほどのものだったと推測されており、ベスタ族のV型小惑星による衝突だったと考えられている。もしそうであれば、10kmもの破片が現在まで残っているという事実は、クレーターがたかだか約10億歳であることを示す[7]。またこれはHED隕石の起源である。既知のV型小惑星は、噴出体積の6%を占め、破片の残りは恐らく小さすぎて見えないか、ヤルコフスキー効果または放射圧によって3:1のカークウッドの空隙に達して小惑星帯から除去されていると考えられている。
出典
- ^ a b "Rheasilvia". Gazetteer of Planetary Nomenclature. USGS Astrogeology Research Program.(NASA coordinates)
- ^ It is 95% the mean diameter of Vesta, 529 km. However, the mean is affected by the crater itself. It is 89% the mean equatorial diameter of 569 km.
- ^ 'Vesta seems more planet than asteroid', Science News, 2012 Mar 22
- ^ Hubble Reveals Huge Crater on the Surface of the Asteroid Vesta
- ^ Vega, P. (2011年10月11日). “New View of Vesta Mountain From NASA's Dawn Mission”. Jet Propulsion Lab's Dawn mission web site. NASA. 2011年10月22日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年3月29日閲覧。
- ^ Thomas, P. C.; et al. (1997). “Vesta: Spin Pole, Size, and Shape from HST Images”. Icarus 128 (1): 88. Bibcode: 1997Icar..128...88T. doi:10.1006/icar.1997.5736.
- ^ Binzel, R. P.; et al. (1997). “Geologic Mapping of Vesta from 1994 Hubble Space Telescope Images”. Icarus 128 (1): 95. Bibcode: 1997Icar..128...95B. doi:10.1006/icar.1997.5734.
関連項目
レア・シルウィア
レア・シルウィア(Rhea Silvia)は、古代ローマの建国伝説に登場する女性で、ローマの建設者ロームルスとレムスの母。イリア (Ilia) とも呼ばれる。
名前
レア・シルウィアは初期の伝承ではイリアと呼ばれていた。これはイリオスの娘を意味し、初期の伝承ではロームルスの母はアイネイアースの娘とされていた。
その後、ギリシア世界との接触からローマの建設とアイネイアースの時代との隔たりが知られるようになると、イリアはアルバ・ロンガのヌミトルの娘とされるように伝承は変化した。この変化によってイリアの元の意味は失われ、レア・シルウィアと呼ばれることが多くなった。それでも詩人などの間ではイリアの名前は使われつづけた。
レア・シルウィアの名のうち「シルウィア」は森林との関係が指摘されている。アイネイアースの息子アスカニウスによって築かれたアルバ・ロンガではアスカニウスの次の王であるシルウィウス以降、王達は「シルウィウス」を姓として名乗ったとされていて、アルバの王族であるレア・シルウィアにもこの名が加えられている。
伝承
よく知られた伝承ではレア・シルウィアはアルバ・ロンガの王族ヌミトルの娘とされている。ヌミトルは父王プロカの死後、継承するはずの王位を弟アムリウスにより簒奪され、レア・シルウィアの兄弟である男子を殺害される。ヌミトルの子孫による王位の奪回を恐れたアムリウスはレア・シルウィアを処女が義務付けられたウェスタの巫女として、レア・シルウィアから子供が生まれないようにした。
しかしレア・シルウィアはのちに処女の掟を破り懐妊する。このときは巫女になってから4年目であったという。相手はローマの神マールスであるとする伝承が一般的で、それによれば務めの水汲みの際にレア・シルウィアを眠気が襲い、彼女が眠っている間にマルスは交わったという。ティトゥス・リウィウスなどではレア・シルウィアが実際にそう信じたかそれとも罪への弁明のためか相手がマルスであると証言したとしている。この他アムリウスがマルスを装い交わったとする説もある。
レア・シルウィアの懐妊は初めは隠されたが、ウェスタの巫女の儀式を長く休んでいるところからアムリウスに疑われ、ついには発覚してしまう。その後出産までの間レア・シルウィアは監視のなかに置かれた。
レア・シルウィアは双子を出産するがこの赤子は間もなくアムリウスによってティベリス川に流された。レア・シルウィア自身はアムリウスの娘アントの父への嘆願によって助命され、投獄された。
出産後のレア・シルウィアについては投獄されたほかに、出産後ティベリス川に投げ込まれ殺されたとするものもある。しかしこのときティベリス川の川の神であるティベリヌスによって救われ、その妻になったという。
川に流された双子は雌オオカミの乳を飲み生き延び、ファウストゥルスに拾われロームルスとレムスと名付けられた。この二人が成長して祖父ヌミトルと協力してアムリウスを打倒したのち、レア・シルウィアは救い出され手厚く遇されたという。他に投獄されている間に獄死したとするものもある。
影響
小惑星(87)シルヴィアとしてその名が付けられている。この小惑星の衛星にはレア・シルウィアの双子の息子ロームルスとレムスの名が付けられている。また、小惑星(4)ベスタの最大のクレーターにはレアシルヴィアと命名されている。
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