周波数変調とは? わかりやすく解説

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しゅうはすう‐へんちょう〔シウハスウヘンテウ〕【周波数変調】


FM

フルスペル:Frequency Modulation
読み方エフエム
別名:周波数変調

FMとは、アナログ変調方式一つで、周波数変調させて情報伝達する方式のことである。

FMでは、振幅が常に一定であるため、情報伝達中にノイズ混入して上下フィルタを通すことで容易に除去できるという特徴がある。また、同一周波数においては、より強い信号受信すると、弱い信号が強い信号マスキングされてしまうという性質がある。FMは高速伝送には不向きで、低速でのデータ伝送用いられることが多い。

FMは、FMラジオ放送のほか、アマチュア無線業務用無線などにも利用されている。ただし、航空無線限っては、マスキング問題からAM(振幅変調方式採用されている。

なお、ヤマハDXシリーズ代表されるFM音源は、FMを応用して使われている。

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周波数変調

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/26 06:55 UTC 版)

周波数変調(しゅうはすうへんちょう、FM英語: frequency modulation・フリクエンシー・モデュレーション)とは、情報搬送波周波数の変化で伝達する変調方式である。

FMラジオ放送アマチュア無線業務無線航空交通管制を除く。航空交通管制では振幅変調が利用されている)、アナログテレビジョン放送の音声信号(FMラジオの受信機でも聴くことができたのはこのため)などに広く利用される。情報伝送ではない分野では、シンセサイザーの発音方式にも利用された(FM音源の記事を参照)。

概要

FM変調の各波形 上:変調前の搬送波、中:変調に用いる信号波、下:送信波

周波数変調では、情報を表す信号電圧によって搬送波の周波数を上下に変移させる。結果として、搬送波の疎密によって信号が表されることになる。図の例では、信号電圧最大で搬送波周波数を最も高く、最低で周波数を最も低くなるようにしているが、信号の変化方向と周波数の変化方法は逆でも良い。搬送波の周波数が無変調時から信号によって変化した変化分を周波数偏移という。

FM変調回路・復調回路

もともと真空管をリアクタンス管として用いてきたが、トランジスタの発明以降は、発振周波数を電圧で制御できる発振器、すなわち電圧制御発振器(VCO)の制御電圧に変調信号を加えることによりFM変調波が得られる方法が主流。復調は、共振回路のスロープ特性を利用した周波数弁別器(ディスクリミネータ)が用いられることが多い。他に、受信信号をPLL回路の比較入力信号として入力し、PLL回路内のVCO制御電圧の変化を復調出力とする方法もある。→変調方式・復調方式

弱肉強食特性

FMは、単に発振器の周波数を変化させるだけなので、送信電力の変動がない。つまり、常に最大電力であり電力が弱くなる瞬間がない。また、受信はAGCを使わないでリミッタで飽和増幅するため、振幅成分は完全に失われる。これらの理由により、同一の搬送波周波数の強い信号を受信した場合、弱い信号は強い信号によって隠されてしまう(マスキング)ため、存在が確認できなくなる。これを弱肉強食特性と言う[注釈 1]。技術者やアマチュア無線家の間で一般に広く使われている専門用語(ジャーゴン)である。

一般の無線通信では、通信中に被ってくる弱い信号は「有害な混信」と見なされるので、完全に排除できることが望ましい。FM受信機では、コチャンネル特性(英語: cochannel selectivity:同一チャネル選択度)という指標で排除能力を示す。

理論

AM-FM方式ステレオ変調の原理
AM-FM方式ステレオ復調の原理
和差方式
右・左の差信号で38kHzの副搬送波を平衡変調して副信号とする。その信号と19kHzのパイロット信号とを右・左の和信号に多重して放送の搬送波を変調する。ステレオを再生する場合は、19kHzのパイロット信号を2逓倍し38kHzの副搬送波を生成することで副信号をAM復調してL-R信号を再生し、FM復調した、主信号であるL+R信号との間で和差を取ることにより左右を分離する。送信側で差信号を平衡変調した結果FM変調のスペクトルには38kHzの副搬送波は含まれておらず、受信側で19kHzのパイロット信号を頼りに生成する必要がある。送信側で取り除いた副搬送波を受信側で生成するという手間を踏む理由は、FM変調の際に変調度のほとんどを音声信号に割り当てるための工夫である(副搬送波のパワースペクトルを変調に割り当てない)。こうすることでS/N比が高い送信波が得られる。日本におけるFMステレオラジオ放送方式として用いられている。
スイッチング方式
38kHzのスイッチング信号により、左右の信号を切り替えてコンポジット信号を生成する。再生する場合はこの逆で、コンポジット信号を38kHzのスイッチング信号で同期を取って左右に分離する。原理上は同期検波と同じである。ここで、スイッチング方式により得たコンポジット信号を分析すると、L+Rの信号と、L-Rの包絡線で38kHzを変調したDSB波との合成であることがわかる。したがって、スイッチング方式で変調したコンポジット信号は和差方式でも再生することができる。また、和差方式によりコンポジット信号を生成する際に、副信号を特定のレベルに合わせればスイッチング方式のコンポジット信号と等価な信号が得られる。したがって和差方式で変調したコンポジット信号をスイッチング方式で再生することも可能になる。実際にはスイッチング方式の方が回路の構成が簡単なため、FMステレオの再生はスイッチング方式またはスイッチング方式に準じた同期検波が使われる。

FM-FM方式

第二音声または差信号で副搬送波を周波数変調した信号とパイロット信号とを主信号または和信号に多重して周波数変調するもので、日本におけるテレビ音声多重放送(二か国語音声・ステレオ音声)方式として用いられている。ステレオの再生方法は和差方式である。

その他のFMステレオ方式

  • FM-PM方式
  • FMXステレオ方式

脚注

注釈

  1. ^ 一般にFMが多用されるVHF帯であるが、地上の航空管制官と上空の飛行機との間で通信する航空無線が「あえて振幅変調を使っている」のは、この特性により、無線通信が不可能になるのを防ぐためである。

出典

  1. ^ 第一級陸上特殊無線技士無線工学試験 JZ16B
  2. ^ a b 高木利弘『スマートTVと動画ビジネス 次世代メディアをデザインするのは誰か?』2012年、インプレスジャパン、205頁
  3. ^ a b 高木利弘『スマートTVと動画ビジネス 次世代メディアをデザインするのは誰か?』2012年、インプレスジャパン、206頁
  4. ^ a b c d e f g h i 日本ラジオ博物館「FM放送の始まり」

関連項目


周波数変調

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/21 04:42 UTC 版)

ラジオファクシミリ」の記事における「周波数変調」の解説

FMラジオのように直接周波数変調を利用して画像濃淡変化周波数変動に対応させて送信する方式連続的な濃淡変化再現できるため、写真のようなグラデーション表現できる占有周波数大きく広がるため、フィルタ回路使って周波数変動の上限、下限設け、それを超える周波数送信されないようにされる。濃淡基準となる信号含まれないため、受信側同調がずれると白とびしたり、黒つぶれすることがある

※この「周波数変調」の解説は、「ラジオファクシミリ」の解説の一部です。
「周波数変調」を含む「ラジオファクシミリ」の記事については、「ラジオファクシミリ」の概要を参照ください。

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